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12月27日 18時0分
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日本人はもっと豊かになれる - 村上尚己「エコノミックレポート」

12月26日レポートでは、国民の豊かさで計測する「日本経済の本当の順位」が1990年から一貫して下がり続け、そして2009年以降順位が下がっているのは南欧諸国と日本であることを紹介した。

読者の方から、「購買力平価で換算した国民一人当たりの所得」をなぜ使うのか、ご質問を頂戴した。購買力平価とは、ドル円などの為替レートが、両国のインフレ率の変化を反映して長期的に変動するメカニズムである。

例えば、日本ではデフレ(物価下落)が続き(ハンバーガーが150円→100円)、米国ではインフレが続く(ハンバーガーが150円→200円)としよう。2国間のハンバーガーの値段が等しくなるような裁定が働く(購買力平価)ため、為替市場では円高ドル安になる。つまり為替レートの長期的な理論値を使って、ドルベースで統一して国民の豊かさを計測したということである。

ちなみに、IMF(国際通貨基金)が算出している購買力平価に基づくドル円は102.7円である(2012年)。この水準がどの程度妥当か議論の余地はあるが、IMFが「円は割高である」と判断している一つの根拠が、購買力平価によって算出されたドル円レートにある。現在、1ドル85円を超えたと為替市場は大騒ぎしているが、これと比べるとまだ「円高」である。

購買力平価で換算した一人当たりGDPは、各国間の所得水準をドルベースで統一することで比較するには便利な指数である。ただ、国民が、過去からどれくらい豊かになっているかは、各国の通貨ベースでの所得(物価変動の影響を除いた実質ベース)でみる必要がある。

グラフでは、先のレポートで紹介した主要国の一人当たりGDP(実質ベース)について、1993年を100として示している。ここでは、日本を代表として「ほとんど豊かになっていない国」として、スイスとイタリアも合わせて示している。日本やイタリアは、過去18年年率ベースで+0.6%しか所得が増えず生活水準はほとんど変わっていない。


しかし、日本やイタリアは例外である。日本よりも豊かな国である米欧のほとんどの国は年率2%前後のペースで所得を伸ばし続けている。これらは、着実に「豊かになり続けている国」である(グラフ参照)。だから、1990年代前半に5位で豊かな国だった日本のランキングが、18位まで落ちてしまったのである。


なお、1994年半ばから豊かさの順位を上げている国としてシンガポールなどを挙げたが、これらに加えて、フィンランド、スウェーデンも年率2%を超えるペースで国民の所得(豊かさ)は増えている(グラフ参照)。これらは、もともと成熟している国だが、韓国などのキャッチアップの過程にあったアジア同様に「豊かさを謳歌している国」と言える。


2013年以降、日本はどのような国になるのか?過去20年どおり、日本人は豊かになれず衰退が続くのか?筆者はそのようには考えていない。というのは、この日本経済の停滞のほとんどが、マクロ経済政策の失敗で説明できると考えているからである。

つまり、一連の大失政が、安倍政権において修正されれば良い。とすれば、日本は少なくとも他国のように「豊かになり続ける国」に戻れる。なお筆者は、日本は「豊かさを謳歌している国」に復活できる自力を備えている、と思っている。いずれにしても、日本人は、これからもっと豊かになれるのである。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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