2回目は、自分の意志で切り開く人生

為末 自分の人生を「自分のもの」として捉えることの苦しさの面と、実は面白い面、人生をコントロールしていいんだということも、伊賀さんは『採用基準』で書かれていましたよね。

自分の人生を自分の人生だって思うことって、実はとても難しいと思うんです。つい人って、何かがやってくるのを、誰かが言ってくれるのを待ってしまうんですよね。「自分ごと」として自ら選びにいかないというか。

伊賀 多くの人に言えることですよね。

最近思っているのは、アスリートに限らず、私たち一般の社会人にも2回目の人生を自分で設計することが必要だと言うことです。寿命も長くなっているし、定年が延びるなか、ひとつの会社で65歳、70歳まで働ける人は必ずしも多くありません。

 1回目の人生は、良い大学に入って、良い会社に就職して、ばりばり働いてと、親とか家庭の環境、もともと持っていた才能によって「自然に選ぶ」人生です。
なんとなく、流れでそうなったキャリアとも言えます。
一方、2回目の人生というのは、自分の意志で作る、切り開いていく人生です。
マッキンゼーの卒業生でも、若い人が自分のやりたいことをゼロから考え、ビジネスとは全く違うキャリアを選ぶようなことも多いんです。
一方、安定した大企業に入ると、配属で部署も決まるし、やるべき仕事も指示されるので、自分の人生を選んでいくっていう感覚を忘れてしまうんですよね。

為末さんは本の中で、コーチとの関わり方についても書かれていましたが、
アスリートの方々はある程度の年齢になると、コーチから言われたことに対して自分自身はどう考えるかということも、常に問われますよね。

為末 そうですね。そこで、今までコーチの言われた通りに、ある意味思考停止でやってきてしまったアスリートは苦しむかもしれません。