「社内プレゼン」は、ビジネスパーソンにとって必須のスキルです。どんなによいアイデアがあっても、組織的な「GOサイン」を得なければ一歩も前に進めることができません。そのためには、説得力のあるプレゼンによって決裁者を説得する技術が不可欠なのです。
そこで役立つのが、ソフトバンク在籍時に孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取り、独立後、1000社を超える企業で採用された前田鎌利氏の著書『完全版 社内プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)です。
本書では、孫正義氏をはじめ超一流の経営者を相手に培ってきた「プレゼン資料」の作成ノウハウを、スライド実例を豊富に掲載しながら手取り足取り教えてくれます。読者からは「大事なプレゼンでOKを勝ち取ることができた」「プレゼンに対する苦手意識を克服できた」「効果的なプレゼン資料を短時間で作れるようになった」といった声が多数寄せられています。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、プレゼン資料で「折れ線グラフ」を効果的に見せるための、とっておきのノウハウについて解説します。

プレゼン資料の折れ線グラフは「角度」をつける写真はイメージです。 Photo: Adobe Stock

折れ線グラフの“お尻”に数字を置く

 折れ線グラフも、社内プレゼンでは頻出するグラフです。

 推移や比較を行ううえで、非常に使い勝手がいいのが特徴です。ただ、複数の折れ線がクロスすることもあり、グラフが複雑になりがちですから、編集には最も手をかけるべきグラフと言ってもいいかもしれません。

 早速、具体的に折れ線グラフの編集をしてみましょう。

 図1をご覧ください。これは、商品の返品率の推移をライバル2社と比較したものです。自社の返品率が急激に高まっていることに警鐘を鳴らし、対策の必要性を訴えるスライドです。

 私ならば、これを図2のように編集します。

 まず、棒グラフと同じく余計な「数字」「罫線」「凡例(「当社、A社、B社」の部分)」はすべてカットします。折れ線グラフの途中にある数字は不要。最新の数字である「当社 53%」「A社 29%」「B社 18%」を、折れ線の“お尻”に表記すればOKです。

 重要なのは、決裁者に強く印象づけたい「当社 53%」の部分を大きく表示すること。また、折線グラフの色は各企業のコーポレートカラーを利用すると瞬時に理解できます。

 なお、自社の数字を特に強くインプットしたい場合や、比較する項目が複数あるなど情報量が多すぎる場合は、自社のみに色をつけて、他の線はグレーを使うとよいでしょう(「ワンカラー効果」といいます)。

 また、棒グラフと同様、横罫も不要です。この折れ線グラフは、返品「率」を示すものですから、縦軸は100%になることは自明のこと。ですから、縦軸の目盛りも不要です。数量を示す折れ線グラフの場合には、縦軸の目盛りが必要となりますが、その場合でも最小限に絞ってOKです。

「凡例」もカットします。折れ線グラフに限らず、グラフには「凡例」がよく出ますが、小さく表示しなければならないため、グラフを複雑なものに見せてしまいがちです。ですから、「凡例」はカットして、その内容をグラフのなかに入れ込むようにしてください。

グラフの横幅を狭めて、折れ線に「角度」をつける

 さらに、折れ線グラフをより効果的に見せるテクニックがあります。

 まず、強調したい折れ線を「極太」にします。図2において、最も重要なのは「当社の返品率が急激に上昇している」ことを示すことです。そこで、この折れ線を極太にすることで、決裁者の注意を喚起するわけです。

 さらに、スライドの左半分のスペースにグラフを収めることで、グラフの横幅を狭めます。こうすることで、折れ線に角度がつくため、より危機感を印象付けることができるわけです。図1の緩やかなカーブよりも、図2の急カーブのほうが、訴求力があるのは一目瞭然です。

 また、グラフの横幅を狭めることで、右側に入るキーメッセージのスぺースを確保することにもつながります。これは、非常に有効なテクニックですので、折れ線グラフを編集するときには、どんどん活用していただきたいと思います。

 なお、図1の折れ線グラフの上には○マークがついていますが、こういうマークは不要です。折れ線グラフは、物事の推移や他社との比較がわかればOK。そのために不要な要素は、すべてカットして構わないのです。

(本稿は、『完全版 社内プレゼンの資料作成術』より一部を抜粋・編集したものです)