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金融緩和を邪魔する抵抗勢力 - 村上尚己「エコノミックレポート」

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年末年始の海外市場では、昨年末からの株高・円安(円高修正)の様相が更に強まった。財政の崖を巡る妥協案が米国議会で可決、景気後退に陥る最悪シナリオは避けられ、軟調だった米国株も大きく切り返している。

為替市場でドル円は、円高修正が止まらない。安倍政権による金融緩和強化への期待が円安の原動力だが、米国での経済正常化を背景とした長期金利上昇がドル高要因となり、ドル円の上昇を後押しつつある(グラフ参照)。


当社ウェブに掲載されている「2013年の相場展望」において、筆者は「日本でようやく正常化が始まる年」と書いた。以下はその抜粋である。「民主党政権による円高デフレを容認する政策の不作為が、経済停滞と株安をもたらしていた。この教訓を踏まえ、安倍政権は円高デフレの根幹となっている金融緩和の不徹底、を是正する大きな政策転換を目指している」

年末年始の円高修正の値動きは、政策転換によって日本経済が正常化に向かうシナリオへの期待が高まっていることを示している。一方、筆者は同コンテンツで、次のように今後の展望を述べた。「アベノミクスに対する抵抗勢力は与党内などに大勢いるが、これに屈服せず、他国に見劣りしない金融緩和強化策が実現すれば、過度の円高の修正が続く」

安倍政権による「金融緩和の強化」を軸とした脱デフレ策を、市場は好感しているが、 12月28日レポートでも紹介したように「日銀に金融緩和を強化する余地はない」と誤認したり、あるいは「日銀はこれ以上金融緩和を強化すべきでない」と考える市場関係者や識者は多い。そして、与野党の中にアベノミクスに賛成していない政治勢力もいる。

この抵抗勢力は、既にメディアなどで、いろいろな格好で暗躍し始めている。分かり易いのが現在の円高修正の動きを、「円安が急ピッチなため、輸入コストやガソリン価格上昇をもたらす」など、これを金融緩和の弊害と強調する見方である。

市場に疎い識者は、「通貨高は国益である」という歪んだ信念を持っているためか、通貨安(高すぎた円が正常水準に戻るだけだが)が進むと、よからぬことが起こると妄信を抱き、こうした見方を早々と披露しているのだろう。そして、こうした的外れな見解が、今後実現が期待できる金融緩和強化を邪魔する「抵抗勢力」をサポートすることになる。

実際には、経済がデフレという異常な状況にある日本にとって、デフレ圧力を強めるだけの通貨高は経済全体にとって害悪の部分が大きい。具体的には、円高で主力製造業の利益が落ち込むことが、設備投資や雇用抑制そして株安を招き、総需要を停滞させ更なるデフレ圧力を強める、という悪循環に陥っていたのが、これまでの日本経済の最大の問題である。

金融緩和強化と緊縮財政解除によってこれまでの悪循環から抜け出し、日本経済が正常化に向かうことを、11月半ば以降の円安・株高の市場の値動きが先取りしている。金融緩和を邪魔する抵抗勢力に屈することなく、全うな政策対応が実現するか。それを、今後冷静に見定めたいと考えている。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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