日本勢躍進や意外な展開と
見ごたえがあった年末年始の試合

 年末年始に集中して行われたスポーツは、どれも見ごたえがあった。

 まず大晦日のプロボクシング。世界タイトルがかかった試合が一挙に5試合行われたのもすごいが、そのすべてで日本人選手が勝ち世界王者になったのは感動ものだった(WBC世界スーパーフライ級タイトル戦は日本人対決だったが)。

 勝った5人はいずれも好ファイトを見せたが、なかでも称賛したいのが井岡一翔と内山高志である。井岡はWBA・WBC世界ミニマム級王者だったが、今回は1階級上げてWBA世界ライトフライ級王座決定戦に挑んだ。1階級上げるとパンチは重くなるうえ、相手の同階級5位ホセ・ロドリゲス(メキシコ)は28勝(17KO)1敗の強打者。相当な難敵だったが、試合は井岡のセンスが上まわった。

振りが小さくスピードがあり、それでいて重いパンチを的確に当て相手にダメージを与え続ける。終始、試合の主導権を握り6回、右ストレートでTKOに仕留めた。技術的には完璧といってよく、目の肥えたファンもその試合ぶりにはほれぼれしたはずだ。プロ11戦目で2階級制覇は日本人初。井岡は4階級制覇を目標にしているようだが、類まれなセンスがあれば、それは十分可能だろう。

 内山はWBA世界スーパーフェザー級の王座統一戦に挑んだ。王者同士の対戦だけあって相手のブライアン・バスケス(コスタリカ)は29勝(15KO)無敗の強者。決して簡単な相手ではなかったが、内山は重いボディブローで相手を弱らせ、8回には連打を集中、やはりTKO勝ちを収めた。試合日が何かと話題の多い大晦日だったことに加え、世界戦が5試合も行われたことから大きなニュースとして扱われなかったが、今後の日本プロボクシング界を明るくする試合を見せてくれた井岡と内山には拍手を送りたい。

 元日に行われた全日本実業団対抗駅伝はコニカミノルタが5年ぶり7度目の優勝を勝ち取った。コニカミノルタも優勝候補の一角ではあったが、連覇を狙った日清食品グループが9位、好選手が揃った旭化成が10位に沈むといった意外性があり、7チームが最後の最後まで熾烈な2位争いをしたシーンも見ものだった。