先週末(11月14日)からワシントンで開かれていた「世界金融サミット」は、15日、閉幕した。G20と世界銀行、IMF(国際通貨基金)、UN(国連)、FSF(金融安定化フォーラム)などの国際機関が参加して、未曾有の金融危機を救おうという試みは、金融安定化を謳った「首脳宣言」を採択してひとまず着地した。

 日本から出席した麻生首相は、会議冒頭、IMFへの1000億ドル(約10兆円)の融資を約束した。同日(14日)発行の「WSJ」(ウォールストリートジャーナル)に寄稿したものと同じ内容である。

 その前日(13日)、パキスタンへの5億ドル融資を発表した中国と比べても、日本の貢献は、金額・規模とともに十分すぎるほどのものであった。

 ブレトンウッズ体制の終焉が叫ばれているこの会議の中で、日本の「貢献」は、どのように評価されているのだろうか。

10兆円の高価な「武器」で
麻生首相は存在感を示せたか

 IMF・世界銀行こそ、同ブレトンウッズ体制の核だった。1944年に構築されたこの世界金融体制が、第二次世界大戦後の世界金融のルールを形作ってきたのは確かだ。

 しかし、初代IMF総裁のケインズ博士の理論が世界中で見直され始めているのが象徴するように、同体制の耐用年数も過ぎているという指摘が出始めていた。

 実際に、今回の会議でも、IMFの機能低下、同基金の改革について議論が集中している。

 G20、とくにG7以外の国々からのIMFへの不満は深刻だ。今年3月にクォータ制を導入し、新興国の役割を高めようと試みたものの、IMFへの不信は拭えていない。

 韓国などのアジア諸国にとっては、97年のアジア金融危機の際、IMFの融資が受けられず、国内経済がどん底にまで叩き落とされてしまったトラウマがある。それが10年たった現在でも、同体制への不信感となって、会議でも表出することになったのだ。