橘玲の日々刻々 2013年1月9日

[橘玲の日々刻々]
ユーロ危機、中国の不動産バブル、国債バブル、エネルギー革命…
2013年は、「未来」がすこしずつかたちを見せはじめる年に

 世界的な株高と円安で幕を開けた2013年は、ひさしぶりに明るい雰囲気に包まれている。このままの勢いで経済は上向き、日本はゆたかさを取り戻すことができるだろうか? 「未来は誰も知ることができない」ということを前提に、今年がどんな年になるのか私見を述べてみたい。

ユーロ危機、報道と実態はかなり違った

 去年は6月にイギリス、アイスランド、アイルランド、ポルトガル、ギリシア、イタリア、ドイツを回った。そこで感じたのは、日本での報道と現地の雰囲気はかなり違う、ということだった。

[参考記事]
●金融バブル崩壊後のアイスランドが短期間で奇跡の復活を果たした理由
●ロンドン五輪の陰でオフショアのメッカ・マン島の想像以上の寂れ方に思う
●”ケルトの虎”アイルランドが国家的危機に頼ったのは「愛国心」だった
●失業率が深刻なポルトガルでは旧宗主国と植民地の関係が逆転していた
●エーゲ海の豊かな島・クレタ島でギリシアという「国」について考える
●“国家破産”の街ギリシア・アテネを旅して
●現代の”ゴモラ”ナポリの街角で見たイタリアの闇
●イタリア・シチリアの寂れた街とマルタの熱気
●書籍『死都ゴモラ』が明かす、南イタリアの途方もない秘密
●ロシア・サンクトペテルブルグに刻まれたエカテリーナ宮殿とロシア人ツアーガイドの歴史

 “ヘッジファンド国家”と化したアイスランドは市場原理主義が大失敗した格好の例として取り上げられるが、バブル崩壊後の通貨安の恩恵を受け、夏の観光シーズンにはヨーロッパ中からアウトドア派が押し寄せて観光地はどこも活況を呈していた。北海道よりも広い島にわずか30万人しか住んでいないから、バブルが派手にはじけても、すこし追い風が吹けばたちまち景気は回復するのだ。

[参考記事]
●金融バブル崩壊後のアイスランドが短期間で奇跡の復活を果たした理由

世界最大級の海底温泉・露天風呂ブルーラグーン (Photo:©Alt Invest Com)

 

 不動産バブル崩壊で大打撃を受けIMFの支援下に入ったアイルランドも、週末のダブリンはパブの客が道路にあふれ出すほどの賑わいだった。住宅価格は最高値から半値で下げ止まり、国債金利も5%まで下がって、ようやく大不況から脱しつつあるようだ。

[参考記事]
●”ケルトの虎”アイルランドが国家的危機に頼ったのは「愛国心」だった

金曜夜のテンプルバー地区。街のシンボル「The Temple Bar」前の賑わい (Photo:©Alt Invest Com)

 

 北ヨーロッパに比べてポルトガルやイタリア(南部)、ギリシア(クレタ)の経済はたしかに厳しいが、だからといって、国民の総意によってユーロから離脱する、という雰囲気はなかった。ギリシア国内でもひとびとの利害が一致しているわけではなく、国民はEUから切り捨てられてしまえば自分たちが生きていけないことをよくわかっていた。

●失業率が深刻なポルトガルでは旧宗主国と植民地の関係が逆転していた
●エーゲ海の豊かな島・クレタ島でギリシアという「国」について考える
●“国家破産”の街ギリシア・アテネを旅して
●現代の”ゴモラ”ナポリの街角で見たイタリアの闇
●イタリア・シチリアの寂れた街とマルタの熱気

 その意味で、多くの専門家が予想したようなユーロ崩壊は起こらなかったし、ヨーロッパ経済は今年も、ゆたかな「北」と貧しい「南」の緊張を抱えながら低空飛行を続けることになるだろう。

ギリシア・クレタ島は観光の島。港沿いにカフェが並ぶ。「ギリシアがユーロから離脱するなら、クレタはギリシアから独立する」というカフェオーナーも (Photo:©Alt Invest Com)

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 <執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

 作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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