この1月1日、JFEホールディングス傘下のユニバーサル造船と、IHIの造船子会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(IHI‐MU)が経営統合し、ジャパン マリンユナイテッド(JMU)が発足した。建造量ベースで世界8位に躍り出る、統合新会社を舵取りする三島愼次郎社長が胸中を明かした。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

――日本の造船業は、1956年に新造船の建造量で世界のトップに立って以来、ずっとその地位を守り続けてきた。だが、造船大国だった日本も、2000年に韓国、10年には中国に追い抜かれた。

旧態依然のイメージを払拭して<br />「挑戦する造船会社」を目指す<br />三島愼次郎・ジャパン マリンユナイテッド社長<br />兼CEO ロングインタビューみしま・しんじろう
1949年、兵庫県生まれ。73年、大阪大学基礎工学部機械工学科を卒業後、日本鋼管に入社。船舶・海洋技術部長などを経て、2002年に日立造船と日本鋼管の造船部門が統合して発足したユニバーサル造船(USC)の経営企画部長に就任。08年、執行役員を経て、JFEホールディングス傘下のUSC社長となる。13年1月1日、IHIの造船子会社が加わった“統合新会社”の社長に就任。
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 建造量の世界ランキングの順位によれば、確かにそうなっている。だが、総合的に見ると、韓国には抜かれていると思うが、中国には抜かれていないと考えている。

 とはいえ、いつまでも国内で数多くの造船メーカーが旧態依然とした消耗戦を続けるのであれば、中国にも抜かれる可能性が高い。なぜなら、韓国や中国では造船業は花形産業なので、優秀な人材が多く集まってくるからだ。

――今回の経営統合に当たっては、主に中国で独占禁止法上の審査・承認手続きが遅れたことで、都合3回、統合期日を延期したとされている。なぜ、そのような事態になったのか。

 遅れた原因がどこの国にあったのかは言えないが、独禁法上の規制の内容や手続きなどが異なる約10ヵ国に対して申請を出した。統合期日が3ヵ月延びたことによって、“1つの会社”としての受注活動に取り組めず、調達活動もできなかったことは辛かった。

 02年に、日立造船と日本鋼管の造船部門が経営統合してユニバーサル造船が誕生した時は、独禁法は国内の競争状況だけを見ていればよかった。だが、10年前と異なり、さまざまな産業分野で企業のグローバル化が加速したことから、海外の規制当局で独禁法の整備が進んだことも背景にはあった。