ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
家を買う!妻とのケンカを乗りこえて

データや論理で妻を説得できると思うな

太田三津子 [不動産ジャーナリスト]
【第1回】 2009年10月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

独身時代の物件購入は大成功

 新聞社広告営業部勤務の山本澄夫さん(仮名、41歳)は、3年前のマイホームの買い替えで、男と女の価値観の違いを実感した。「妻を説得するのは、どんなクライアントを説得するより難しかった。心身ともに消耗しましたよ」と苦笑い。

 山本さんは独身時代に60㎡のマンションを購入している。研究熱心な山本さんは不動産情報を収集し、まさにマニュアル本にあるとおりの「賢い選択」をした。将来の買い替えも考えて、投資家の視点で資産価値もチェックしている。

 この物件は人気沿線の駅から徒歩数分。賃貸に回しても15万円の家賃は固い。

 収益還元法(※1)で試算すると、(15万円×12ヵ月)÷5%(期待利回り)=3600万円。実際の販売価格は東向きなので3100万円と割安だった。

 「家には寝に帰るだけだから、東向きでも十分」と購入を決断。山本さんの読みは当たり、5年後の買い替え時には購入価格を上回る3200万円で売却できた。5年間の住居費がゼロになったばかりか、引っ越し代も出た勘定だ。

 「中古なんて絶対いやよ!」

 こうした「輝かしい実積」をもつ山本さんだが、結婚後の買い替え作戦は大苦戦。妻の洋子さん(仮名、36歳)が、山本さんの推奨物件をことごとく却下したからだ。

 買い替えのきっかけは、洋子さんの妊娠だった。

 「赤ちゃんが生まれたらここでは狭いわ。近所で広いところに住み替えましょうよ」

 そこで、山本さんは近隣で築10年、78平米の3LDKのマンションを見つけた。マンション価格は販売された時点(中古になった時点)で通常2割ほど自動的に下がり、築10年を超えるとまたガクンと下がる。しかも、持ち主は売り急いでおり、値引き交渉も有利に進みそうだった。築10年の割には内部も綺麗に使われており、面積も間取りも管理状態も申し分ない。山本さんのデータ分析では完璧に近い物件だ。

 ところが、洋子さんは「中古なんて絶対いやよ!」と言下に拒否。

 次に山本さんが選んだのは同じ沿線の新築マンションだった。やや予算オーバーだが、駅から徒歩圏の大手ディベロッパーの開発物件。耐震性、資産価値、管理会社などもチェックし、冒頭の収益還元価格の試算でも「ほぼ合格点」をマークした推奨物件だったが、「駅前がダサイし、スーパーも高くて新鮮じゃない」と、洋子さんはまたまた却下。

 むっとした山本さんだが、ぐっとこらえて対象範囲を広げ、深夜まで不動産情報の収集と分析に充てた。休日はふたりで「理論上、合格物件」のモデルルーム巡りを続けたのだが…。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

太田三津子 [不動産ジャーナリスト]

1978年青山学院大学卒。「住宅画報」編集、「住宅新報」記者を経て1995年フリーライターとして独立、専門誌や経済誌を中心に住宅・不動産関係の記事を執筆するかたわら、雑誌や書籍の企画編集、座談会の司会やコーディネーターとしても活躍。共著に『次世代ビルの条件』(鹿島出版会)。日本不動産ジャーナリスト会議会員。


家を買う!妻とのケンカを乗りこえて

マイホームを賢く購入するためのマニュアル本はたくさんあるが、現実はなかなかうまくいかない。マイホーム取得には夫婦の合意が不可欠だからだ。家探しから契約、入居、買い替えの過程で、多くの夫婦が一発即発の危機を体験している。「女房は一体なにを考えているのか」とぼやく男性のために、実例を交えながら夫婦の危機回避の心得を紹介しよう。

「家を買う!妻とのケンカを乗りこえて」

⇒バックナンバー一覧