ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
スマート・ウーマン スマート・リーダー

「人間の本質を、どれだけ生肌で、生身の感覚で大切に紡げるか。それが、自分にとっての勝負」(ロフトワーク・林千晶)――古川享が聞き出す 今を駆けるスマート・ウーマンの本音

林 正愛 [アマプロ株式会社社長]
【第7回】 2013年1月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
2
nextpage

:その中で、ジョイ(伊藤穰一氏:現MITメディアラボ所長)だけは違いました。最初に会った時にまっすぐ私の目を見て、「何がやりたいの?」と。そう聞かれたら、これまで自分たちの案がいかに儲かるか、というようなことばかり話してきたので、言葉が出なくなってしまって。それで周りの仲間が「あの林が言葉が出なくなってる」と驚いて代わりに説明してくれました。人生であんなに言葉が出なくなったのはあの時だけかも。

 そうしたらジョイが、「お金にはならなそうだけれど、僕はそういうの好きだし、楽しそうだから個人的に出すよ」、と言って出資してくれたのです。一生懸命書いたビジネスプランなんて全然見ないで。「何をやりたいのか」だけを問題にしてくれました。私にとってこの出来事は大きな転機になりました。

ルールが合わなければ合うところへ行けばいい

古川:アメリカでは、IT関連のことを学んだの?

:違うんです。アメリカに留学して専攻したのはジャーナリズムです。

古川:それはまた、ずいぶんと今とは違う分野のように感じますが。

:当時私は週刊誌「AERA」の記者になりたいと思っていて。周りに「AERA」を読んでいる人も多くて、20〜30代の私たちが未来にワクワクできる記事を書きたいと思っていたので。それで留学して、アメリカ人の働き方について取材しました。その後共同通信で経済記者のアシスタントをしていました。そこでは100~200社のプレスリリースと決算報告書を読んでそれをサマリーにして上司に報告するという仕事をしていました。つまりビジネス分析をやっていて、当時のインターネット・ビジネスの現場で何が起こっているのかをリアルタイムに見ていました。

 それで、日本で今ビジネスをやるとしたらこうじゃない、と、同僚とランチのときに話していて「じゃあ一緒にやろうよ」と誘われたんですが、「私、朝日新聞に入るから、もし落ちたらね」と冗談で言っていました。そしたら本当に落ちちゃって、それで始めたのがロフトワークなんです。

古川:興味深いですね。ただ、こうして聞いていると、何がそうした経歴に影響を与えているかを知りたいので、やっぱり生い立ちを聞きたいと思います。アメリカに留学して、向こうでアシスタントながらきちんと働くこともできていた、というのは、小さい頃にアブダビで育ったことが影響しているのでしょうか。

:生まれたのは日本ですが、幼稚園の頃に向こうへ行って、5年間過ごしました。語学という意味では影響していません。できたばかりの日本人学校に少し通っただけなので、英語もアラビア語もダメでした。ただ、生き方には影響していると思いますね。何せ王様が統治する「アラブ圏」なので、日本とは文化も社会構造も違っています。

previous page
2
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

林 正愛
[アマプロ株式会社社長]

りん・じょんえ/BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社、日本経済新聞社にて、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を活かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。
企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月から慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で学んでいる。2児の母。

スマート・ウーマン スマート・リーダー

日本経済の屋台骨を支えてきた製造業が苦しむ中で、さまざまな技術革新が生まれ、グローバル競争の新たな舞台となっているIT業界。いまやあらゆるビジネスがITを抜きにしては、競争力が立ちいかないのが現状だ。男性のイメージが強いIT業界で、実は多くの女性たちが活躍している。IT業界やそれに関わる仕事をして活躍している女性たちに焦点を当てながら、新しい競争の時代のリーダー像を紹介していく。
 

「スマート・ウーマン スマート・リーダー」

⇒バックナンバー一覧