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金融市場異論百出

米債務上限引き上げ問題で
浮上する「1兆ドル硬貨」構想

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2013年1月16日
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 額面1兆ドルのプラチナ・コインを発行すべきか否か? という議論が米国で起き、話題を呼んでいる。提唱者の1人、民主党のナドラー米下院議員は1月2日に本気度を尋ねられ、「私はすごくシリアスだ」と答えた。

 議論の背景には、米国の債務上限引き上げ問題がある。「財政の崖」問題は、ひとまず最悪の事態を避けることができた。しかし、政府は国債発行が行えなくなる債務上限問題にまもなく直面する。米ライトソンICAP社は、債務上限に達する可能性が最も高い時期を3月1週目と予測している。

 債務上限に達してしばらくすると、政府の手元資金は底を突く。政府と議会が上限の引き上げで合意を形成できなければ、政府機関の閉鎖が始まる。その場合の政府の対応策は、(1)民間への支払いをできるだけ遅らせて時間を稼ぐ(それでも3月下旬が限界の模様)。(2)「国民の生活を支えるための負債は認められる」と定められた憲法修正第14条を大統領が発動し、債務上限の縛りを超越して国債発行を続ける(オバマは従来はその適用を明確に否定していたが、最近は変わったのではないかとの観測もある)。

 それら以外の“スーパーウェポン”が、冒頭で述べた超巨額コインの発行だ。米国の記念硬貨に関する法律は、財務長官が適切と判断する量と種類のプラチナ硬貨を鋳造・発行できるとしている。

 財務省が額面1兆ドルのスーパージャンボなプラチナ・コインを1枚発行し、FRBの政府預金口座にそれを預金すれば、同口座には引き出し可能な1兆ドルがFRBから入金される(はずである)。それを当面の政府の歳出に充てる、という奇策だ。

 ただし、米国で本気でそれをやれと言っている人は少ない。財政再建を巡る政治の対立にうんざりしている人々が揶揄して言及している面が感じられる。FRBの独立性の問題も絡むため、実現の可能性は極めて低いといえる。

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