ものがあふれる生活を送っている中で、震災により家財道具等多くのものを消失した光景を目の当たりし、ものを増やす生活に対する意識が減少傾向を示しているのであろう。そして「本当に必要なこと」や「流行よりも機能性を重視」し、自分にとって有益なもののみにお金を使う、という意識が高くなっているようだ。ものを「所有」するのではなく、「使用」することに価値を見いだしているのである。

 我々はこうした価値観の変化を一過性のものではなく、新しい流れ(ニューノーマル)として捉えている。そして、この価値観の変化を年代別に示したものが図6である。これによると、絆志向、モノを持たない、という意識はシニアのほうが若い世代より高いことがわかる。

 震災によって、日本人の価値観は「利己」から「利他」へ、「所有」から「使用」へと変化を遂げたが、この変化は特にシニア層についてより顕著な傾向としてみてとれるのである。

「自分消費」から
「つながり消費」へ

 こうした価値観の変化はどのような消費トレンドを生むのであろうか。

「利己」から「利他」という流れでみれば、「自分消費」から「つながり消費」、すなわち人と違うことに価値を見いだす消費から、人と分かち合うことに価値を見いだす消費へと変化しているのであろう。また、「所有」から「使用」という流れでみれば、「モノからコトへ」、すなわち新しいものに価値を見いだす消費から、経験や共感に価値を見いだす消費への変化しているのではないだろうか。

 第2回以降、これらについてさらに議論を深めていきたい。