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常態化した部活顧問の体罰で生徒が自殺
体罰と暴力の違い、躾と教育の違い、そして体罰の是非

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第18回】 2013年1月18日
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 大阪市立桜宮高校バスケット部に所属する生徒が自殺したのは、昨年一二月二三日のことだった。クリスマスの前日だ。

 桜宮高校と市教育委員会がその事実を公表したのが、年が明けた一月八日午前。

 生徒のご両親がどんな気持ちで新年を迎えたかには察するに余りあるが、バスケット部の顧問を務める教諭の“体罰”が自殺の原因だったとされている。体罰とは、身体に直接に“苦痛を与える”罰――、と広辞苑にもあるように、この顧問教諭は、生徒のくちびるが切れ、顔が腫れるほどの肉体的な苦痛を与えていた。

 初期報道では、教諭の体罰は、生徒が自殺する四日前と前日、いずれも練習試合でのミスを理由に“二回”とされていたが、その後の報道で、体罰は実は常態化していたことがあきらかになった。

 このような問題が起きたときは“決まって”と言ってもいいほどに、学校側の対応のまずさと教育委員会の不手際も明るみに出る。

 教諭の体罰をめぐっては、生徒が自殺する一年三ヵ月ほど前の二〇一一年九月にも、市の総務局に情報が寄せられていた。だが、桜宮高校では、運動部の顧問全員に体罰の有無を確認し、ない、との返答をそのまま教育員会に伝えるに留め、生徒への聞き取り調査は行なっていなかった。

 顧問らの言い分をそっくり受け止めたのである。教育委員会も、その回答をもって問題は“解決済み”との裁定を下した。言うなれば、警察が容疑者の“やってない”という言葉を信じ、被害状況や現場検証をやらなかったにも等しい。

 ちなみに、市に寄せられた情報は、体罰を見ている子どももつらがり、怯えてしまっている。教員に逆らえば退部させられてしまうと泣き寝入りしている、といった内容だった。

 にもかかわらず、桜宮高校では生徒への聞き取り調査は行なわれず、教育委員会も詳細について追究しようとしなかった。この不手際が、悲劇に向けてコマをひとつ動かしたように思う。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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