橘玲の日々刻々 2013年1月18日

[橘玲の日々刻々]
私たちは中国という巨大な隣人と
どうつき合えばよいのか?

 2012年11月の中国共産党大会で習近平(Xi Jinping)が総書記に選出され、次期首相に指名された李克強(Li Keqiang)との新指導部が固まった。ここに至るまでには共産党中央政治局員で重慶市トップの薄熙来(Bo Xilai)が失脚した激しい権力闘争があり、今年に入ってからは広東省の週刊紙『南方週末』をめぐる記事差し替え問題で広範な抗議行動が起きるなど、中国が政治的・社会的な変動期を迎えたことを示す事件が相次いでいる。チベットなど少数民族の人権問題やリベラルデモクラシーを求めるひとたちへの政治弾圧、尖閣諸島(中国名:釣魚島)への度重なる領海侵入や南シナ海の南沙諸島をめぐるベトナム、フィリピンとの領有権争いなど、国際社会の懸念を募らせる問題も数多い。

 私たちは、この巨大な隣人とどのようにつき合えばいいのだろうか?

中国は他と比べられない巨大な国

 2012年9月の反日デモや、沿海部を中心とする人件費の高騰によって日本企業はチャイナリスクを意識せざるを得なくなり、ベトナムやカンボジア、ミャンマーなど「チャイナプラスワン」が注目されるようになった。日本の大手企業が東南アジアに工場を建設するほか、中産階級の台頭を見越して流通業や飲食チェーンの進出計画も相次いだ。

 こうした報道を読むとき、私たちは無意識のうちに、中国とベトナム、カンボジア、ミャンマーを「同じ」国としてイメージしている。

 もちろん、中国が13億人の巨大な人口を抱えていることは誰もが知識としては知っている。だがその数を具体的にイメージできるだろうか?

 下のグラフを見ていただきたい。東アジア、東南アジアの国々と、中国の省・自治区・直轄市の人口を並べたものだ。

東アジア・東南アジアの人口(単位:万人。カッコ内は省都) 図版作成/ザイ・オンライン編集部
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 中国を除けば、このなかでもっとも人口が多いのはインドネシア(2億3000万人)だが、その国境は帝国主義時代に欧米列強によって決められたもので、言語、宗教、民族の異なる多数の島が集まった多民族国家として長く軍事独裁がつづき、97年のアジア通貨危機でスハルト政権が崩壊して、いまようやく民主制国家として歩みはじめたばかりだ。日本に次ぐ人口を持つフィリピン(9400万人)も同じく多民族国家で、1986年にマルコス政権が倒れるまではやはり軍事独裁だった。

 日本も含め「単一民族国家」は神話にすぎないが、すくなくともベトナム、タイ、韓国では民族=国家という神話が成立している。そのような「近代国家」と比較して、華南、広東、山東、四川、江蘇、河北、湖南、安徽、湖北、青海、浙江の各省は、それと同等か、それ以上の人口規模を持っている。省(自治区)をひとつの国と考えるならば、「アジアの大国20」のうち13までは中国国内にある。

 チャイナプラスワンとして話題になる東南アジアの新興国のうち、人口規模ではミャンマー(5000万人)がかろうじて17位、カンボジア(1480万人)は37位で上海市とほぼ同じ、ラオス(630万人)は630万人でその半分以下だ。

上海・浦東の高層ビル (Photo:©Alt Invest Com)

 このように中国の人口を「見える化」すると、その途方もない大きさがはっきりわかる。中国に代わり得る国は(インドを除けば)アジアにはなく、ポスト中国はやはり中国なのだ。

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 <執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

 作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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