すると、日本企業で予測市場が取り入れられない理由もわかりそうだ。言語と民族と性別での統一性が高い環境で最適化されている伝統的な日本企業は、多様性を前提とする企業内の集合知ツールの活用に必ずしも前向きではない。また、不透明な「根回し」で事前調整が済んでいる議案に対して、「空気」が支配する会議室で闊達な意見を交わすことは難しい。その経営情報へのアクセス、決定プロセスを可視化する予測市場は、組織内に一定の基調感を生むだろう。

 しかし、従業員の大半が自社の問題点に気づきつつ、誰もそのことを表立って指摘せず、優秀な社員から辞めた結果倒産にいたった日本企業を、過去にどれだけ見てきたであろうか。その幾つかの企業で、トップに現場の情報を活用する勇気があれば、いくつかは救われたのかもしれないとすれば、予測市場がもたらす社内情報の民主化は、今の閉塞感漂う日本企業を救う一つの処方箋になりうるだろう。

(次回は1月25日更新予定です。)


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