「今日のランチどこいくー?」と、嬉々として会話を繰り広げ、新しいお店の開拓にも余念がない女性陣。一方、「今日も○○でいいっすかね」「タバコ吸えるところでいいですよね」という男性陣。ランチ事情は会社周辺の環境によっても変わってくると思うが、できるだけ安く、近く、短い時間で食べることができて、まずくはないところ…というのがビジネスマンに選ばれやすいお店かもしれない。

 今回、“出世する人、できない人のランチ”というテーマをいただいた。「そんな、ランチくらいで変わらないですよ」と言いたいところだが、出世している方々の食事記録を拝見すると、そこには、共通して言えることがある。しかも、それは、意志さえ持てば誰にでも実践できることでもある。どうか、「お偉いさんは時間とお金に自由がきくからできるんだよ」と思わずに読み進めてもらえるとうれしい。

「ランチは適当に」は
給水所で水をとらないようなもの

 テレビでマラソン中継を見ていて、給水所で選手がうまく水をとれなかった際に、「あー」と、残念そうな、くやしそうな、なんとも表現しがたい声を解説者が発するのを聞いたことがないだろうか。それは、きちんと水分補給できなかったことがもたらすデメリットを思ってのことだろう。ビジネスマンのクライアントが、ランチに食事らしい食事をとれていないとき…栄養士もまた、言葉にならない声を出してしまうときがある。

 まだ社会人として発展途上にある、入社4年目の男性のある1週間の食事記録を例にあげてみよう。

月曜「ラーメン」
火曜「おにぎり3個」
水曜「カロリーメイト」
木曜「魚肉ソーセージ」
金曜「栗入り最中」

 ……見事なまでに短文で終わる食事記録。そして、週の後半になる程に、段々、時間に追われて食事らしさを失っていくのが伝わってくる。少なくとも、この食事記録を見て、ランチに重きをおいている、という印象は受けないだろう。さらに、これがランチの充実度の問題だけで終わればいいのだが、栄養不足により疲れやイライラを感じやすく、簡単な食事で時間を稼いだつもりが、結局は午後の仕事効率を下げることになる。