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岸博幸のクリエイティブ国富論

なぜ技術力が高いのに韓国に負けるのか
日本の家電が復活できない理由

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第214回】 2013年1月25日
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 政府の成長戦略を検討する産業競争力会議が始まりました。そこで今週は、経産省が官民ファンドなど政府の関与を通じて再生させようとしている家電に必要な成長戦略は何か、考えてみましょう。

技術力はあるのにダメな日本

 この点を考えるに当たって、私も最近知った2つの面白いデータやファクトが参考になるのではないでしょうか。

 その1つは、1月23日(水)に開催された産業競争力会議で楽天の三木谷社長が提出した資料です。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai1/siryou6-9.pdf

 この資料(16ページめ)をみると、世界経済フォーラムによる技術力の国別順位で日本は第5位と、日本の技術力は未だに世界トップレベルを維持しています。それなのに、日本の電機メーカーの上位4社(パナソニック、ソニー、東芝、富士通)の株式時価総額を合計しても、韓国のサムスンの半分以下となっています。即ち、日本は技術力が高いのにそれが産業競争力に繋がっていないのです。

 こうした事実を踏まえ、三木谷社長は“技術力を活かしビジネスに繋げる「ビジネスイノベーション」力の啓蒙・教育が必要”と結論づけています。

 ただ、私は個人的に、おそらく三木谷社長は優しいからこういう表現にしたのだと思っています。むしろ、これらの事実から得られる本当のインプリケーションは、日本の電機メーカーはまだ現場も強くて技術力もあるのに、経営陣がダメだから今のじり貧状態になっているということではないでしょうか。

 これに対しては、おそらく経団連などの財界は“政府が円高などの六重苦を放置したから電機メーカーの業績が悪いんだ”と反論したくなるだろうと思います。

 もちろん、六重苦が電機メーカーの業績に影響しているのは事実です。しかし、それは業績不振の理由の半分に過ぎず、残り半分はやはり経営陣の責任と考えるべきです。

 それは、例えば家電エコポイントという愚策に安易に乗っかり、液晶パネル工場に大規模な投資を行うという経営判断ミスをした電機メーカーほど苦境に立っていることからも明らかではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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