百貨店での衣料品売り上げが18ヵ月連続して前年割れを記録するなど、アパレル不況の影響をもろにかぶっているのがオンワードホールディングス傘下で中核のオンワード樫山。同社の売り上げは百貨店が7割以上を占める。

 他方、日本で一大ブームを巻き起こしているのが、海外の製造小売り(SPA)チェーンだ。衣料品専門店で世界3位、スウェーデンの「へネス・アンド・マウリッツ(H&M)」は昨年秋に日本に上陸。オープン時の長蛇の列は記憶に新しいが、今年は新宿、渋谷に出店する計画だ。

 さらに、今年4月29日には、米「フォーエバー21」が東京・原宿のH&Mの隣に大型店を出店する。「100ドルでコーディネートできるチープシックなブランド」として人気があり、日本でも早くも注目を集めている。

 オンワードとて指をくわえて見ているわけにもいかない。米国の新興セレクトショップ「オープニングセレモニー」の日本における商標権を獲得、今年秋に都内に売り場面積2000平方メートルの大型店を出店する計画だ。

「3000円のカットソーから40万円のドレスまで揃うような、ファッション感度の高い店にしたい」(奥田彰・オンワード樫山常務)としているが、業界内ではH&Mの手頃な価格帯にぶつけてくるとの見方が強い。

 そもそも、オープニングセレモニーは2001年の創業、米国でも2店舗しかなく、知名度はない。それでも、オンワードがこの店に目をつけたのは「品揃えや店員の説明力など独自のノウハウがあり、この不況下でも売り上げは伸びている」(キャロル・リム・オープニングセレモニー社長)からだ。

 オンワード側は「日本国内のほか、アジアでの出店も視野に入れており、出資も1つの選択肢にはなる」(奥田常務)という。

 オンワードの百貨店売上高の高さは、それ以外の販路拡大の制約になっている。かつて、同社の主力ブランド「組曲」をショッピングセンター向けに「組曲ファム」として展開したところ、大手百貨店に抗議を受けたことさえあった。

 百貨店との関係には神経を尖らせつつ、新販路を拡大したいオンワードは、まずは無名のセレクトショップで大型店舗運営のノウハウを確立し、その後、SPAビジネスへの本格進出を狙うものと見られる。

(『週刊ダイヤモンド』編集部  大坪稚子)