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本番力を高める競泳五輪代表「一発勝負」選考の効用

――本番を制す者は世界を制す!?

相沢光一 [スポーツライター]
【第12回】 2008年4月22日
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 北京オリンピックの代表選考を兼ねた水泳日本選手権が終わり、男女46種目で31人の代表が決まった。

 テレビで観戦した人は、代表の座を射止めた選手の興奮状態、感激ぶりに驚かれたのではないだろうか。多くが涙を流し、ガッツポーズを繰り返すなど喜びを全身で表していた。それは過去の実績は考慮せず、この大会のレースで「派遣標準記録を上まわったうえで2位までに入った者」を代表にする“一発勝負”だったから。大袈裟ではなく競技者人生を賭けた勝負だったのである。

 私も取材したことがある選手が出場していたため2度会場に足を運んだのだが、レース前の選手からは、襲いかかるプレッシャーと闘っている様子がひしひしと伝わってきた。緊張し、力が入ってしまってはスピードに乗れない。だから、なんとかリラックスしようとするのだが、どうしても固くなってしまう。失敗できないという意識から逃れられないのである。会場である東京辰巳国際水泳場に来ている人たちもそれを十分承知しており、スタンドにもピ~ンと張り詰めた空気が漂っていた。

 そんな中で行われるレースは見ごたえがあった。ひょっとしたら、本番のオリンピックより上ではないかと思えるほど。これも一発勝負だからである。

一発勝負化のきっかけは
『千葉すず問題』

 競泳の日本代表が完全な一発勝負になったのは、2000年シドニーオリンピックの選手選考でもめた千葉すず問題がきっかけだ。当時も基本的には選考会での成績を重視していたが、明確なものではなかった。国際水泳連盟が定めたオリンピックA標準記録をクリアしたうえで、世界で戦えるかどうかを日本水泳連盟(日水連)で検討するというものだ。

 千葉はその前年、200m自由形で世界ランク2位の記録を出していたが、選考会では世界ランク17位の平凡な記録に終わる。A標準はクリアしていても、これでは本番で好成績は望めないと日水連は判断し、代表から外されたのだ。が、これは表向きの理由。千葉が日水連の強化方針に従わないなど問題行動が多く、役員の不評の買ったことが原因である。

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相沢光一 [スポーツライター]

1956年埼玉県生まれ。野球、サッカーはもとより、マスコミに取り上げられる機会が少ないスポーツも地道に取材。そのためオリンピックイヤーは忙しくなる。著書にはアメリカンフットボールのチーム作りを描いた『勝利者』などがある。高校スポーツの競技別・県別ランキングをデータベース化したホームページも運営。 「高校スポーツウルトラランキング」


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