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1月30日 18時0分
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投資の狙い目 PART2 - シェールガス関連銘柄への投資アイデア - 広木隆「ストラテジーレポート」

【要約】

アパッチ(APA)
シェブロンとLNG輸出で提携。割安に放置されてきたが、株価に上昇モメンタムが出ており、200日移動平均を抜けてきた。

バレロ・エナジー(VLO)
国内産原油を精製に使いコスト削減。決算上ぶれで株価急騰。

マラソン・ペトローリアム(MPC)
バレロと同業で同じストーリーを期待。1/31決算発表。

キンダー・モーガン(KMI)
ロイヤル・ダッチシェルとLNG輸出で提携。

ダウ・ケミカル(DOW)
シェールガスを活用した石油化学コンビナートを構築

米国で吹き荒れているシェールガス革命は、100年に一度の産業革命に匹敵するほどのインパクトを世界経済にもたらすとさえ言われる。近頃、経済紙等のメディアにおいて「シェールガス」という言葉を見ない日はないくらいだから、もはやシェールガス革命についての説明は不要だろう。然るに、株式市場でこの「シェールガス」関連銘柄が賑わっているかといえば、必ずしもそうでない。かつての太陽光などのクリーンエネルギー関連、いわゆる「エコ」関連銘柄がブームになったのとは程遠い状況である。事実、エネルギー・セクターの昨年1年間のパフォーマンスはわずか2%。13%の上昇となったS&P500に大幅に劣後し、10業種中、唯一マイナス・リターンとなった公益セクターに続くワースト2位の成績であった(グラフ1)。



なぜか?儲からないからである。ちょっと考えれば分かることだが、安価なシェールガスのおかげでエネルギー価格が下がるというのは、産業界にとっては朗報だが、エネルギー会社にとっては自社の「商品価格」が下がるようなものである。だから、シェールガス関連銘柄への投資を考えるときは、シェールガスの生産者よりも、その安価なエネルギーコストの恩恵を受けるユーザー側の企業への投資を検討するべきである。

シェール革命で恩恵を受ける企業 - 端的に言って、米国の製造業全体である。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、2015年時点で米国の製造業の平均生産コストは英国より8%、ドイツやフランスより15%、日本より21%低くなるとの試算を公表し、人件費やガス・電力コストの低さは米国の輸出を年間900億ドル増やす効果があると指摘している。1カ月前には、三菱ケミカルホールディングスが化学大手のダウ・ケミカル(DOW)と提携し、シェールガスを活用した石油化学コンビナートを構築すると報じられた。米国の製造業はいまや海外からの投資を引き付ける存在である。

先日の日本経済新聞は、鉄鋼業界でもシェールガスを活用する動きが広がってきたと伝えている。最大手のUSスチール(X)はガスを使って純度の高い鉄を取り出す製鉄法への参入を検討。電炉最大手のヌーコア(NUE)は年内にガス利用製鉄プラントを稼働する。安いガスを使ってコスト削減につなげたい考えだ。しかし、鉄鋼メーカーにとってシェールガス革命は「諸刃の刃」である。例えば、USスチールが29日発表した2012年10〜12月期決算を見ると、最終損益が5000万ドルの赤字。赤字幅は前年同期の2億1100万ドルの約4分の1に縮小したとはいえ、売上高は44億8700万ドルと、前年同期比7%減となった。天然ガス価格の下落を背景にガス開発が減速し、ガス生産設備などに使う鋼管の出荷量が16%の大幅減となったためである。米鉄鋼メーカーにとって「シェールガス革命」は、まだコスト削減効果より、鋼管需要の減退で売り上げ減につながっている。
昨日の日経夕刊にはこういう記事が載った。<米国産の液化天然ガス(LNG)の輸出に向け、国際石油資本(メジャー)の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは28日、米パイプライン大手キンダー・モーガン(KMI)と提携すると発表した。キンダー・モーガン傘下の企業が米ジョージア州に持つLNG基地に液化施設を建設する。北米では新型ガス「シェールガス」の生産量が急増しており、米国に比べてガス価格が高いアジアや欧州向けの輸出拡大を目指す。>

米国は自由貿易協定(FTA)を結んでいない国へのLNG輸出を厳しく制限しているため、すぐに大きなビジネスに発展するかは見通しにくいが、米エネルギー省はLNG輸出が「米経済に利益となる」との第三者機関の報告書を発表しており、輸出許可拡大への期待が高まっている。ロイヤル・ダッチ・シェル以外でも、エクソンシェブロンの米石油メジャー2社もLNG輸出を計画している。ここでは同記事にもあったアパッチ(APA)に注目したい。同記事によると、シェブロンがカナダ西部からのLNG輸出で米アパッチと提携したと報じられている。

アパッチは独立系のエネルギー企業で、探査、開発、生産を行う。上述してきたように、単なる安価な天然ガスの生産だけなら、採算にあわず儲からない商売だが、大手資本の石油メジャーと組むプロジェクトなら話は別である。米国内のガス価格は安いが、LNGにして海外に輸出しようという話である。

アパッチは予想PER 9倍弱、PBRがやっと1倍を超えたばかりという超割安株である。これまで再三、割安だけど株価が修正されない万年割安となるリスク、すなわちバリュートラップに陥るリスクを避けるために、株価にモメンタムの出ているバリュー株に投資することを提唱してきた。アパッチの株価チャートをご覧いただきたい(グラフ2)。11月12月に75ドルのダブル・ボトムをつけて底値から放れてきた。そしてちょうど200日移動平均線を抜けてきたところだ。これこそまさにモメンタムの出てきたバリュー株で絶好の投資タイミングと思われる。



もうひとつ、シェールガスの恩恵を受ける業態を挙げよう。それは石油精製会社である。割高な輸入原油から割安な米国産の比率を高めることで精製コストを大幅に削減できる。

独立系石油精製最大手バレロ・エナジー(VLO)が29日発表した10-12月期(第4四半期)決算はこの7 年で最高益となった。北米の原油生産量の増加を最大限に活用し、精製事業の大半で輸入原油量の割合を削減したことが寄与したのだ。

10-12月期純利益は10億1000万ドル、調整後1株利益は1.88ドルとなり、ブルームバーグが集計したアナリスト平均予想の1株利益1.2ドルを50%超上回った。この決算を受けて株価は12%高と窓を空けて急伸した(グラフ3)。



もう既にこれだけ急騰した銘柄を追いかけるのは得策でないようにも思える。しかし、それでもまだPERは8倍台、PBRは1.4倍と割安である。

同業他社でまだ決算を発表していないところではマラソン・ペトローリアム(MPC)がある。決算発表日は明日1月31日である。バレロ・エナジーと同じストーリーでサプライズが期待できるかもしれない。但し、市場はそう甘くない。株価はご覧の通り、こちらも一本調子に右肩上がり(グラフ4)。ROEが24%と高利益率を誇るのでPBRは2倍強である。それでもこちらもPERは7倍台。米国のエネルギー株は割安な銘柄が多い。その見直し機運が出ているのか、あるいは足元の原油相場の堅調さの反映か、おそらく両者の要因だろう、年初来からのリターンではエネルギー・セクターがトップとなっている(グラフ5)。








(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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