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新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く

ご存じでしたか、愛妻の日?
奥さんを抱きしめる日なんだそうです

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第20回】 2013年2月1日
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 一月二九日、朝日新聞の夕刊に、ちょっと面白い広告記事が載った。

 掲載した朝日新聞と群馬県嬬恋村、日比谷花壇、そして日本愛妻家協会なる“任意団体”が提唱し、実験を試みるという企画だ。一月三一日の“愛妻の日”に、午後八時九分から一〇秒ほど、夫婦が熱い抱擁を交わす――、というものらしい。

 私は知らなかった、一月三一日が愛妻の日だったなんて。しかも、その愛妻の日は二〇〇六年に制定されていたなんて。ご存じでしたか、皆さん。私はついぞ知りませんでした。

 どうやら、数字の「1」を英語の「I(アイ)」に、「31」を「サイ」と呼んでの語呂合わせらしい。それで、アイサイの日。すると、五月三一日は後添えの日になるね。それとも、交際の日ということで思いを打ち明けるか。

 記事によると、この愛妻の日に愛妻家たちは仕事を早めに切り上げ、花束を買って帰宅しなければならないらしい。愛する妻のためなら、愛妻家は残業なんかしないのだ。そして、午後八時九分から一〇秒ほど、熱い抱擁……、すなわち“ハグ”をする。これもハグの語呂合わせで、だから八時九分。抱擁時間の一〇秒は理由がわからない。一分くらい抱きあえばいいのに。

 提唱した二社一村一協会では、この語呂合わせ抱擁を“ハグタイム計画”と呼んでいるらしく、今年で三回目を迎えるのだそうだ。ちっとも知らなかったぞ私。思わずグをゲと打ち込んでしまうところだった。

 何ともばかばかしい、と思ったら記事にもばかばかしいと記載されていて、正しくは、“ばかばかしい、いや、ロマンチックなソーシャルアクション”との文言で綴られていたからやっぱり多少はばかばかしい企画なのだ。

 何がばかばかしいかと言うと、ど派手に紙面を三ページも使った大特集の最終ページには、全面に足形が二つ、向き合うかたちで描かれていて、これが“ハグマット”なのだそうだ。つまりは、この上に夫婦で乗ってハグしなさいと。

 紙面中央には、こんなメッセージもある。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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