株式レポート
2月1日 18時0分
マネックス証券

株高はいつまで続くか?〜不安要因の検証〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

来週の重要経済指標、主要企業決算についてPDF版のレポートで解説しています


世界的な株高が続いている。1月月間の米国株市場(S&P500指数)は5%上昇した。増税による消費への悪影響、成長企業の代表格アップルへの疑念、などの不安要因を乗り越えて、底堅く上昇が続いた。米国経済に対して慎重な見方が依然多い債券市場においても、米10年国債金利が2%の水準に接近している(グラフ参照)。1月7日レポートで想定したとおりの展開である。


一方、今週ある債券市場の投資家と議論する機会があったが、この米国金利の上昇(つまり米債券下落)は魅力的な買いのチャンスに見えるようである。米10年金利は、2012年夏場の1.4%台から上昇基調にあるが、もうこの上昇トレンドは一旦終わる、という相場観を持っているようだ。

そうした見方もありえないわけではない。先日(1月29日)オンラインセミナーチャット駆け込み寺でも同じような問題意識の質問を頂戴した。2012年秋口は、ほとんどの米経済の指標が改善傾向にあった。ただ、市場はあまり反応していないが、2つの消費者心理指数が悪化するなど、やや注意すべき点がある(グラフ参照)。このセンチメント悪化は、1月から始まる増税による所得の目減りで、消費が減速していることを示している。米経済が減速し始めれば、これまでの金利上昇・株高が途絶えてもおかしくない。


ただし、現段階の米国の経済指標全般をみれば、それは杞憂に終わる可能性が高いと考えている。一つに、個人消費全体は伸び悩むとしても、住宅投資や自動車などリーマンショック後に回復が遅れていた分野で、これまでの金融緩和による後押しで本格的な回復が続いているからだ。

更に、米国では2012年秋口まで、財政の崖への警戒からか、企業の設備投資活動が一時的に落ち込んでいたが、足元で増え始めている。グラフは、米企業の設備投資動向を現す、耐久財受注統計の推移である。「財政の崖」の悪影響は無視できないが、米経済を失速させる事態が回避され、2012年秋口まで企業が控えていた設備投資が増え始めている。


これらの総需要の底上げが、増税による消費者心理悪化の悪影響を吸収できると、考えている。このシナリオが実現すれば、米10年金利も更に上昇し、債券売りとあわせて米国株も史上最高値水準を伺ってもおかしくないだろう。

これまでのレポートでもお伝えしているが、現在の株高・円安が続くアベノミクス相場が崩れない一因は、世界的な株高・景気復調という強い追い風も吹いていることだ。安倍政権は運にも恵まれている。

ただ、アベノミクスについては、今週、抵抗勢力からの巻き返しもあってか主要閣僚から不穏な発言が再び聞かれている。こうした中でも、為替市場で今週も円安(=円高是正)が続いている。当面は、日銀総裁人事の思惑が大きな材料で、それに対する安倍首相の実行力が揺らがなければ、この地合いは続くということだろう。

アベノミクスとは何か?今後の相場を決定する事項を解説した、拙著『日本人はなぜ貧乏になったか?』は、皆様のご支持を頂き、アマゾンにおいては品切れとなっている状況です。1月31日(木)に発売したばかりなので全国書店に置いていると思われますので、是非お手にとって頂ければ幸いです。なお、明日(2月2日)開催の当社お客様感謝デーにおいて、販売させて頂く予定です。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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