なぜ、「どうやって」を最初に考えてはいけないのか?

 では、なぜ「どうやって」を「何を」「誰に」の後に、最後に考えるべきなのでしょうか?

 それは、「どうやって」買ってもらうかという施策は、選択肢が数えきれないくらい多いからです。

 キャッチコピーの場合は、お客様に響く表現をゼロから考え出しますし、インパクトのある写真画像も星の数から選ぶことになります。

「何を」お客様に訴えるかが明確でないと、キャッチコピーもお客様の心に刺さらず、響かない広告になってしまいます。

 また、お客様に表現を届ける媒体にも、数多くの種類があります。

 もし、あなたの広告をお客様が一切見ていない媒体に出したとしたら、その広告費用はまるまる無駄になってしまいます。

 私の講師仲間で、女性マナー講師の方がいらっしゃいます。彼女は人気講師で、ブログもしっかりと書かれていて講座のご依頼もひっきりなしの方です。

 先日10人くらいで食事をしたときに、彼女だけフェイスブックをやっていなかったので、
「えつこさん、なぜブログはしっかりやっているのに、フェイスブックをやっていないんですか?」と聞いたら、
「だって、私のお客様はだれもフェイスブックをやっていないもん」
とお答えになられました。

 彼女の場合は、自分の潜在的なお客様が見ていないだろう媒体に、時間を投入しても無駄になる可能性が高いと判断していたのだということです。

 極端な例かもしれませんが、このようにお客様が見ていないであろう媒体にいくら労力をかけても、投資対効果が上がりません。

 これは、大企業がマーケティング計画を立てる時も同じことです。

 まず、自社を取り巻く環境を調査し、製品開発を行います。そしてターゲットとなる層を設定した後に、広告などのキャンペーンを企画し、実行に移します。

 たとえば、トヨタ自動車が新型カローラ・フィールダーを市場に導入するときなどに、最初から「CMはキムタクがいいよね」といった順序では考えません。

 まずは、競合や経済環境などを考慮し、USPを明確にします。そのUSPが響くターゲット層を設定したあとで、広告戦略を立てます。

 その際に、「このターゲットに一番好感度が高くって人気があるタレントさんを起用しよう」となり、候補の中から選びそれに伴って、コピーやCMの内容を決め、最後にターゲットがよく見るであろうテレビ番組や雑誌に広告をうつ、という順番になります。