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岸博幸のクリエイティブ国富論

「行革+環境+バラマキ」のオンパレード
都議選が示した二大政党化への遠い道のり

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第48回】 2009年7月17日
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 今週から新聞ビジネスを巡る真面目な説明を再開しようと思っていたのですが、いよいよ衆議院選挙の日程も決まりましたので、東京都議会議員選挙の結果を総括して、衆院選への展望を考えたいと思います。

郵政選挙の逆バージョン?

 7月12日に行われた都議選は、民主党の圧勝・自民党の惨敗という結果になりました。この結果を受け、“2005年の郵政選挙の逆バージョン”といった論評が一部のメディアで見られましたが、これは本当でしょうか。個人的には、そうした捉え方はとんでもない見当違いだと思っています。確かに、郵政選挙のときは自民党の圧勝・民主党の惨敗と、結果だけを見れば正反対でしたが、両方の選挙では前提がまったく異なっていたのです。

 郵政選挙のときは、自民党と民主党の主張は正反対でした。自民党は郵政民営化の実現という“小さな政府”を主張しましたが、民主党は郵政民営化に反対しましたので、“大きな政府”を掲げたに等しいのです。つまり、結果的には小泉さんというカリスマの存在が選挙の帰趨を左右したとはいえ、実質的には二大政党から正反対の二つの主張が提示され、国民がどちらの道を選ぶかを問われていたのです。その意味では、米国の二大政党に近い感じでした。

 これに対して、今回の都議選では、両党の候補の主張は非常に似通っていました。例えば、千代田区では立候補して間もない26歳の新人が、都議を6期務めた自民党都連の幹事長を破ったことで話題になりましたが、この両者の主張を比較してみると、両方とも基本的には“行革+環境+バラマキ”という、政策の流行りものを羅列しているに過ぎません。もちろん、所属する政党のスタンスを反映して、行革/環境/バラマキのそれぞれについて中身は大きく異なるのですが、大くくりにすると本質的には同じ方向性の政策を訴えていました。要は、政策のベクトルの方向は一緒で、ベクトルの大きさが異なっているだけだったです。

 つまり、4年前は正反対の主張を掲げるという意味で二大政党制の状況だったのが、今や同じような主張を叫ぶ二つの政党が存在するだけに変化してしまったのです。そうした中で自民党が惨敗したということは、政策や主張と関係ない次元、具体的には“党首に対する好き嫌い”や“相次ぐ自民党の失態への失望”といった要素が選挙結果に大きく影響したと考えざるを得ません。

衆院選はどうなる?

 それでは、もし今回の都議選で明らかになった傾向が続くと仮定した場合、8月30日に行われる衆院選はどうなるでしょうか。おそらく、両党とも来週にもベクトルの方向が同じで大きさだけが違う「行革+環境+バラマキ」路線のマニフェストを発表し、選挙戦に突入しますが、マスコミが自民党の崩壊を煽る中で民主党が圧勝して民主党政権が誕生するのではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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