「2700億円の減税だってさ。わが家の暮らしも少しは楽になってくれないかなあ」

 1月下旬、テレビで税制改正のニュースを見ていた津田隆夫さん(仮名)は何げなくつぶやいた。間髪を入れず、台所にいた妻から怒鳴り声が飛んできた。「来年から消費税が上がるのよ。暮らしが楽になるわけないじゃない!」。

 昨夏、消費税の増税が話題になった。マニフェスト違反と民主党がたたかれて、その通りだと憤慨したものだ。待てよ。消費税が上がるのは随分先の気がしていたけれど、もう来年なのか……。

 津田さんの妻の感覚は決して間違っていない。消費税による税収は10兆4230億円(2012年度一般会計予算)だ。税率を1%上げると年間2兆円の税収増になるとされる。単純計算すると、税率が8%に上がる14年4月以降は6兆円の増税だ。10%に引き上げられる15年10月以降は、約10兆円の増税が待ち構えている。

 2013年度税制改正で与党が減税と強調する2700億円より、はるかに大きな数字だ。減税の先には、大増税時代が待っている。

首都圏は約4割が要申告
狙われる富裕層

 消費税増税を1年後に控え、どんな施策が取られるのか。税制改正の主な変更点を見ていこう。注目ポイントは、「相続税の増税」「富裕層の課税強化」である。