事業計画のPDCAを回すプランニングこそ<br />ファイナンス部門に課せられた主要な任務<br />――北川徹・スターバックス コーヒー ジャパン<br />戦略・ファイナンス統括オフィサー商社マンとして6年半のニューヨーク駐在経験を持つ北川氏。「為替や金融派生商品のトレーディングをやっていました」  Photo by Kazutoshi Sumitomo

飲食店業界に存在する「1000店舗限界説」。1000店舗を超えて成長を続けるのは難しいと言われる、ある種の神話だ。しかし、スターバックス コーヒー ジャパンは、今年中にも1000店舗達成が確実で、マクドナルドとすき家に次ぐ「1000店舗を超えても成長を続ける飲食業」を目指す。その目標を支えるキーパーソンが北川徹・戦略・ファイナンス統括オフィサーだ。北川氏は、ファイナンスパーソンは事業計画のPDCAを回す主導的役割を担う存在だというポリシーを持っていた。(構成・編集/ジャーナリスト 田原寛)

事業計画のPDCAを回すプランニングこそ<br />ファイナンス部門に課せられた主要な任務<br />――北川徹・スターバックス コーヒー ジャパン<br />戦略・ファイナンス統括オフィサーきたがわ・とおる
スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 戦略・ファイナンス統括オフィサー。1983年名古屋大学法学部卒業後、総合商社の兼松江商(現・兼松)に入社。6年半のニューヨーク駐在などを経て、99年退職。通信ベンチャーの企画部門責任者、リーバイ・ストラウス ジャパンの財務責任者を経て、2006年スターバックス コーヒー ジャパンに入社
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リスクマネジメントと会計原則は
トレーディングで学んだ

日置氏 北川さんはファイナンスパーソンとしては珍しいキャリアをお持ちですね。

北川氏 大学を卒業して総合商社に就職し、機械貿易の部署を希望していたのですが、実際の配属は財務部外国為替課。どんな仕事かもよくわからないまま配属されましたが、それがファイナンスの分野でキャリアを積んでいくきっかけになりました。

事業計画のPDCAを回すプランニングこそ<br />ファイナンス部門に課せられた主要な任務<br />――北川徹・スターバックス コーヒー ジャパン<br />戦略・ファイナンス統括オフィサーひおき・けいすけ
トーマツグループCFOプログラム、デロイト トーマツ コンサルティング・グローバルマネジメントインスティテュート・シニアマネジャー。日本CFO協会主任研究委員。早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師
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 16年半の商社勤務のうち6年半はニューヨークに駐在していました。おっしゃる通り、私は日本企業の財務・経理部門の人間としては異色のキャリアを積んでおり、為替や金融派生商品のトレーディングなどで資産運用を担当している期間が長かったのです。ニューヨークに駐在したのも、金融マーケットで仕事をするためでした。

日置氏 バックオフィスの仕事ではなく、ディーラーとしてフロントで稼ぐ仕事だったわけですね。

北川氏 その通りです。

日置氏 一方で、トレーディングに深く関わっておられる中で、ファイナンスパーソンに不可欠なリスクとリターンに関する意識は強く身に付けられたのではないでしょうか。