【第8位】複数の証券会社で取引をやっている人は確定申告するとトクかも
 昨年末から株式市場が活況を呈してきましたので、最後の追い込みで昨年1年間の収支が改善した方も多かったかもしれません。
 上場株の取引をする人は証券会社で特定口座を開設していると思います。
 特定口座で「源泉徴収口座」を選択している場合、税金に関する処理は口座内で完了していますので、確定申告する必要はありません。
 ただし、複数の証券会社で取引をしている場合には、確定申告をしたほうがトクになる場合があります。
 たとえば、A証券で100万円の利益(源泉徴収税額が10万円とします。以下同じ)、B証券で20万円の損失、C証券で5万円(源泉徴収税額5000円)の利益となっていた場合、このまま何もしなくても問題はありません。
 しかし、この例の場合、3つの口座の収支合計は「85万円の利益」になるので、本来の税金は8万5000円です。
 そこで、3証券会社から送られてくる「特定口座年間取引報告書証明」の数字を合算して確定申告をすると、2万円が戻ってくることになります。

 ところで、この制度の面白い点は、自分に都合のいい特定口座のみを選んで確定申告できる、という点です。
 たとえば、この場合だと、株式の取引で生じた所得が85万円あります。
 何もしなければ確定申告不要でそのままですが、確定申告すると、もし自分が誰かの扶養になっている場合などは、総所得が38万円を超えてしまうので、扶養から外れてしまいます。
 そこで、この場合、B証券とC証券の特定口座分のみを確定申告する。この場合、5000円の還付を受けるとともに扶養のままでいることも可能となります。

 また、確定申告の際、株式の取引に使った経費、たとえば情報を得るための資料代やセミナー代などを入れることも認められています。
 特定口座内で利益が出ていた場合でも、確定申告の際に新たに上記のような経費を加えれば、下のようにこれまた税金が戻ってくることになります。

特定口座内で100万円の利益(源泉徴収税額10万円)

経費:専門業者からの情報料は、月1万円×12ヵ月=12万円とすると、

株式取引の所得は、100万円-12万円=88万円

これにかかる税金は、88万円×10%=8万8000円

12万円-8万8000円=3万2000円 
が戻ってくる!!!


 特定口座内の処理でややこしいのは終わりにしてしまうというのもいいのですが、場合によってはせっかくだから確定申告してみるのもいいと思います。

 よく「複数の証券会社で取引する場合は源泉徴収なしで」という方がいますが、手間暇を考えると私はそうは思いません(ちなみに私は元証券マンです)。
 「源泉徴収あり」にしておけば、確定申告の際には取引の明細を税務署に報告する必要はなく、「特定口座年間取引報告書証明」の数字を合算するだけですみますから非常に簡単です。
 来年の確定申告対策として、今年から特定口座を「源泉徴収あり」にしてみてはいかがでしょうか。