ベトナム 2013年2月15日

ベトナムはすべての出版物に”検閲”アリ
広告に載せたくても載せられないものも…

日本で15年間の編集者生活を送った後、ベトナムに渡って起業した中安記者が、ベトナムの出版物の「検閲」についてレポートします。

表紙から裏表紙まですべてベトナム語に翻訳して検閲を受ける

 私がベトナムにやってきて、いちばん驚いたのは「検閲」だ。私が日本で出版の仕事をしていたときには、鬼よりも怖い上司の「検閲」はあったものの、政府が「検閲」をするなんてことはなかった。

 ところが「ベトナムスケッチ」編集部で働き始めて、最初に制作スケジュールを確認したところ、「検閲用原稿の提出締め切り」という項目があるので驚いた。検閲には10日間かかるのだそうで、印刷開始の10日前には、出版ライセンス業者に、原稿を提出しなければならない、という。

 「検閲するって、どの部分ですか?」と以前から働いている社員に尋ねると、
「全部です」
「全部って……、つまり表紙から裏表紙まで、記事も広告も全部ってこと?」
「はい、その通りです」

 もちろん検閲官は日本語が分からないから、日本語をベトナム語に翻訳する必要もある。原稿を提出した後、何か修正した場合は、追加で検閲申請を出す。それを「ベトナムスケッチ」では毎月毎月、新しい号を出すたびにしているというのだ。それを聞いて、私は一瞬、めまいがした。

 しかも検閲でダメが出る基準というのは、あることはあるのだが、明文化されていないという。ただ、その後経験を積むに従って、次のような点に注意をすれば大丈夫だということは分かった。

・ホーチミン首席の画像は基本的に掲載しない。
・国旗をデザインパーツとして使うことはしない。
・地図には、領土問題で係争中のチュオンサ、ホアンサ両諸島を入れる。
・ベトナムに関してネガティブな印象を与える画像や表現は控える。

 言われてみればもっともな条件ばかり。ホーチミン首席や国旗のことは「国に対して敬意を払って欲しい」という意味だろうし、領土問題の件も当然だ。最後の項目に関しても、元々、我々の媒体はベトナムの魅力を伝えることを目的にしているので、それで困るということはない。

現在、ベトナムで発行されている日本語メディア。発行間隔は週刊から季刊まであり、内容もサイズも様々だ。いずれも無料で配布されている【撮影/中安昭人】

橘玲の書籍&メルマガのご紹介
世の中(世界)はどんな仕組みで動いているのだろう。そのなかで私たちは、どのように自分や家族の人生を設計(デザイン)していけばいいのだろうか。
経済、社会から国際問題、自己啓発まで、様々な視点から「いまをいかに生きるか」を考えていきます。質問も随時受け付けます。
「世の中の仕組みと人生のデザイン」 詳しくは
こちら!
橘 玲の『世の中の仕組みと人生のデザイン』 『橘玲の中国私論』好評発売中!

バックナンバー

»関連記事一覧を見る

海外投資必勝マニュアル&本

海外投資のノウハウが凝縮! ここで紹介しているコンテンツ、書籍はすべて、ネットから購入が可能です。さらに「海外投資実践マニュアル」は「海外投資を楽しむ会」の会員になれば割引価格で購入可能です。

作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
橘玲×ZAiONLINE海外投資の歩き方
作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
subcolumn下影

ページのトップに戻る

本WEBサイトに掲載している全ての記事およびデータについて、その情報源の正確性・確実性・適時性を保証したものではありません。本サイトの提供情報を利用することで被った被害について、当社および情報提供元は一切の責任を負いませ ん。万一、本サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社および情報提供元は一切責任を負いません。本サイトからアクセス可能な、第三者が運営するサイトのアドレスおよび掲載内容の正確性についても保証するものではなく、このような第三者サイトの利用による損害について、当社は一切責任を負いません。また、併せて下段の「プライバシーポリシー・著作権」もご確認ください。