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2030年のビジネスモデル

【新連載】ストック・リノベーションが日本の家を面白くする

齊藤義明 [ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]
【第1回】 2013年2月19日
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既存の不動産の価値を一度疑い、
不動産を自分のライフスタイルで捉えてみる

 普通の不動産屋は、「駅から何分」とか、「部屋の広さ」、「設備の新しさ」などの条件で賃貸物件の価格を決める。しかし、東京R不動産はそうした従来の条件とはまったく異なる視点で物件の魅力を捉えている。つまり「倉庫っぽい」、「昭和レトロっぽい」、「水辺の景観あり」、「無料で屋上が使える」などだ。しかもできるだけオーナーに改装をさせないで、ユーザー(借り手)が自由に改装しても良いようにして貸し出すのも特徴で、RとはリノベーションのRを指している。

 実際の物件をみると、とても個性的でワクワクする。物件名「ちびっこの家」は、神楽坂(新宿区)にあり、2畳+2畳+3畳+DK5畳の計30平米、しかも2階建。とんでもなく狭くて、細い。でも使い方によっては面白い空間だ。子どもの頃に、こんな秘密基地や隠れ家みたいなところに一度住んでみたかったなと思ってしまう。

 あるいは物件名「三浦さんの書斎」というのもある。ここはもともと『下流社会』などのベストセラーで知られる作家の三浦展さんの書斎だった。引っ越すにあたって三浦さんが蔵書の置き場所に困ったので、蔵書と一緒にRENTしている訳ありの物件だ。その分値段が安くなっているが、本好きな人、三浦展さんのファンにとっては、たまらない物件であろう。

 こんな個性的な物件が多いため、東京R不動産の仲介物件の実際の利用者はデザイナー、アーティストなど、比較的尖った職種の人やお店を探している人が多いそうだが、最近は大企業の社員であってもデザイン部門の人など自分のライフスタイルにこだわる人に人気が出てきているようだ。

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齊藤義明[ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

ビジネスモデル研究者、経営コンサルティング会社勤務。政策・経営コンサルティングの現場でこれまで100本以上のプロジェクトに関わる。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

facebookページ:https://www.facebook.com/yoshiaki.saito.1042

 


2030年のビジネスモデル

未来のパターンを作り出す企業は、はじめは取るに足らないちっぽけな存在だ。それゆえに、産業の複雑な変化の過程で、その企業はときに死んでしまうかもしれない。しかし個別企業は死んでも、実はパターンは生き続け、10年後、20年後、新しい現象として世の中に広がる。2030年の日本につながる価値創造のパターンとは何か。現在さまざまな領域でその萌芽に取り組む最前線の挑戦者たちとのダイアローグ(対話)。

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