中国 2013年2月20日

北京の大気汚染の原因を突きとめた!?
緊急レポート! 北京の一般家庭の暖房事情

1974年、鹿児島県生まれ。邱永漢氏に師事し、2005年より、チャイニーズドリームを夢見て北京で製パン業を営む荒木氏が北京の現状をレポートします。


 日本では今、北京の大気汚染が大問題になっているという。北京に住んでいる私がそのことを知っているのは、母から電話がかかってきたからだ。

母 『日本のニュースで北京の大気汚染がひどいってやっているけど、大丈夫なの?』
私 『ああ、ひどいけど、いつもと変わらないよ。』
母 『あなたのパン工場は北京の郊外だから、少しは空気がいいんじゃないの?』
私 『…そうだね。心配しないでね、じゃ!』

 ごくふつうの会話だが、このなかに北京(中国北部全般)の大気汚染に対する日本と現地の認識のズレがある。

 北京に暮らす人々からすれば、空気が悪いのは今に始まったことではない。「90年代の冬もこんなものだった」というあきらめにも似た声を、北京に長く住むスタッフたちから聞く。

 そうはいっても、今年1月の大気汚染は特別にひどかった。理由はいろいろいわれているが、もっとも印象的なのは、「今月は強い風が吹かなかったから」という政府機関の発表。たしかにそうだと思うが、そもそも風が吹かないとひどい大気汚染になること自体が深刻な問題だし、そんなことを言っているうちは永遠にこの問題は解決しないだろう。

日本人は、北京の大気汚染は中心部だけと思っているが…

 私の母をはじめとして、多くの日本人は、もっとも空気が悪いのは北京の中心部で、郊外はまだマシだと思っている。これが日本の常識だろうが、事実はまったく違う。都市中心部の大気汚染はたしかにひどいが、郊外もひどい。要は、地域全体がどこまで行っても大気汚染なのだ。

1月29日 日本大使館近くの北京市内中心部の自宅にて

 人気のない山間部や海辺でもないかぎり、中国の華北・東北・西部地区ではこのような状況に大差はないだろう。

 「それは郊外に大型工場や発電所があるからでしょう」と思うひとも多いのではないだろうか。もちろん、それも大きな原因だろう。しかしどのニュースを見ても取り扱いが非常に小さいが、(私が考える)重大な原因がある。
 それがこれだ。

家庭用のハチの巣型石炭を使った炉 これで暖をとったりお湯を沸かしたりする

 何だかおわかりになるだろうか?
 答えは、石炭を主原料とした燃料だ。中国語で『蜂窝煤(フォンウォメイ)』と呼ぶ。ハチの巣に似ているので、こんな名前が付いている。日本語に訳するとしたら、「ハチの巣炭」とでもなるだろうか。価格は1元前後。これが冬になると、想像もできない量、郊外で燃やされることになるのだ。
 私はこ蜂窝煤や、もっと大型ボイラー用の块煤(クワィメイ)が大気汚染の主犯格ではないかと睨んでいる。北京が位置する華北地域の冬は寒い。今年はとくに寒く、零下20度を超す日もあった。

 日本で暖をとるとしたら、エアコンかガス・石油ストーブなどが使われるだろう。しかし最高気温ですら氷点下という地域では、エアコンはそれほど役に立たない。都市部では、政府の管理のもと、巨大なボイラーで炊いたが温水パイプが、古い団地から新築のマンションにまで貼りめぐらせてある。このおかげで、実は北京の冬は、東京や上海よりも快適なのだ。部屋の中は下着で過ごせるくらい暖かい。


橘玲の書籍&メルマガのご紹介
世の中(世界)はどんな仕組みで動いているのだろう。そのなかで私たちは、どのように自分や家族の人生を設計(デザイン)していけばいいのだろうか。
経済、社会から国際問題、自己啓発まで、様々な視点から「いまをいかに生きるか」を考えていきます。質問も随時受け付けます。
「世の中の仕組みと人生のデザイン」 詳しくは
こちら!
橘 玲の『世の中の仕組みと人生のデザイン』 『橘玲の中国私論』好評発売中!

バックナンバー

»関連記事一覧を見る

海外投資必勝マニュアル&本

海外投資のノウハウが凝縮! ここで紹介しているコンテンツ、書籍はすべて、ネットから購入が可能です。さらに「海外投資実践マニュアル」は「海外投資を楽しむ会」の会員になれば割引価格で購入可能です。

作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
橘玲×ZAiONLINE海外投資の歩き方
作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
subcolumn下影

ページのトップに戻る

本WEBサイトに掲載している全ての記事およびデータについて、その情報源の正確性・確実性・適時性を保証したものではありません。本サイトの提供情報を利用することで被った被害について、当社および情報提供元は一切の責任を負いませ ん。万一、本サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社および情報提供元は一切責任を負いません。本サイトからアクセス可能な、第三者が運営するサイトのアドレスおよび掲載内容の正確性についても保証するものではなく、このような第三者サイトの利用による損害について、当社は一切責任を負いません。また、併せて下段の「プライバシーポリシー・著作権」もご確認ください。