営業マンが日報を書き込むだけで、業績向上に結び付く――。

 経営コンサルタントだったNIコンサルティング社長の長尾一洋が目をつけたのが、一見地味に映る日報の存在だった。客との日々のやり取りは会社にとって貴重な情報。それをパソコンで共有できるソフトにしたのが同社の「顧客創造日報」だ。

顧客創造日報
わが社はこれで勝負!
コンサルティングで培ったノウハウをソフトに落とし込んだ。ユーザーは20万円から利用できる。営業活動の進捗状況やクレーム情報をひと目でチェックできる。情報を共有することで、社員の経営参画意識を高める。

 営業マンが営業の進捗や受注見込み、クレームなどを記入すると、顧客やテーマ別にデータが蓄積される。上司は指示が出しやすくなり、会社は半年後の受注の先読みや経営戦略が立てやすくなる。

 じつはこうしたことは、経営コンサルティングのイロハ。コンサルタントが会議で指示していた帳票の作成や営業管理をソフトに落とし込んだのだ。

 一定期間、得意客にアプローチしていなければ警告を発する機能も備えている。担当者がいないときの対応や、引き継ぎもスムーズになる。
 実際、日報ソフトを導入した企業からは「受注機会のロスが減った」「受注単価が上がった」という声が寄せられている。

 「単なるソフト屋ではない」と、導入後も定期訪問したり、システムだけで対応できない有事にはコンサルタントが赴いて対処する。コンサルタントとしてのこだわりが随所にうかがえる。

 「組織に入ってサラリーマンになるイメージはわかなかった」と言う長尾は、大学卒業と同時に、生まれ故郷の広島市にあるコンサルティング会社に就職した。顧客は地元の中小企業ばかり。営業で回るうち客先の社長とも顔なじみになり、相談を受けるようになった。資金繰りのこと、社員のこと……。常に悩みを抱え、コンサルに対するニーズは確かにあった。