農業のビジネス化の起爆剤として農業ITが注目されている。NECや富士通などといった大手システム会社も参入し始めており、「出たとこ勝負」であった今までの農業のあり方を変えようとしている。農業ITは国内の新規就農者の拡大や、海外における農業ビジネス展開に大きく貢献していくだろう。

遠隔モニタリングが
農家から高い評価

 農業のビジネス化の起爆剤として、農業ITがにわかに注目されている。従来より農業生産においてIT技術が活用されてきたが、最近の「農業IT」は栽培支援システムを指すことが多い。

 栽培支援システムの主な機能は、①センサー・カメラによる環境データ・画像の収集、②作業員の入力による作業履歴の管理、③収集データ・履歴情報の見える化(遠隔モニタリング)、④データ分析による最適な栽培方法のマニュアル化、⑤設備の自動制御(ハウス栽培の場合)、⑥現場作業員への作業指示、等が挙げられる。最近は、急速に普及するスマートフォンやタブレット端末に対応したものがでており、農家にとって気軽に使えるようになっている。

 農業ITというと、上記で上げた⑤の「設備の自動制御」⑥の「現場作業員への作業指示」といったイメージが強いが、意外なことに、③の「収集データ・履歴情報の見える化(遠隔モニタリング)」が農家から高い評価を得ている。もちろん「農家の眼」と「センサーの眼」にはレベルの違いがあり、完全に代替できるものではないが、自然相手で一時もハウスから離れられないこともある農家の作業負担を減らしていることは間違いない。農地が分散しがちな日本では、離れた場所のハウスの様子を遠隔でデータと画像から確認できる点が、農家の安心感につながっているのだろう。