時差を利用すれば24時間仕事が回り、情報がとれる

 Gさんの情報収集の手法を見ると、四六時中働いているのではないかと思われがちですが、そんなことはありません。時差を有効に使うのです。
 Gさんは、とくに重要かつ必要な国の情報については、相手国の朝8時に「今日中にこの情報を届けてくれ」といったメールが届くように設定して送ります。すると、相手国の担当者はその日のうちに情報を集め、返信してくれます。
 それが日本とアメリカであれば昼夜逆転しているのですから、夜寝ているうちに情報を集めてもらえるという算段です。

 考えてみればとてもシンプルなことですが、大国ロシア生まれ、というお国柄から身についた知恵なのかもしれません。私などは最初のうちは、「今日の午前中までに、このマーケットの資料がほしいのだけど……」とアメリカに電話し、「いま何時だと思ってるんだ!真夜中だぞ。明日の午前中ではダメなのか」といったやりとりをしていたわけですから、その効率性は雲泥の差といってよいでしょう。
 彼のアドバイスを聞いてから、私も同じことをやるようになりました。すると、不思議なことに、朝起きてメールを見ると、「仕事ができている!」という感覚になるのです。
 余談になりますが、私の組織では、「このしくみを制度化できないか」とも考えています。

HowよりもWhatを共有する

 共通するものはシンプルに、というのが彼の信条ですが、そのシンプルの内容はHowではなく、Whatということ。「何を」ということをシンプルに伝えるのです。「どのように」ということは、各国の事情や地域性に合わせて考えればよい。目標だけ定めて伝えれば、迂回路をとるか直進するかは各国に考えさせるのです。なぜなら、Gさんが考える迂回路が、相手国では直線かもしれず、直線が迂回路かもしれないからです。

 つねにHowの部分は、その国に委ねる。この考え方も海外トップ層に共通している「ものの見方」かもしれません。もし、どこへ行っても正しいテーマがあったら、それはHowではなくてWhatとして、つまり目的として共有し、取り組むべきことになるのです。
 そんな彼と私はいま、少し視点を先に置いた2015年のビジネスプランを話し合ったりしています。