3. シンプルな全体構成

 総理の演説は、シンプルな全体構成で、耳で聞いて理解しやすく、記憶に残りやすいものでした。これまでにも解説してきた、注意を惹きつけてテーマを告げるオープニング、本論を語るボディ、メッセージを記憶に焼き付けるクロージング、の三つのパートで総理の話しは構成されています。

 さらに、ボディは、「経済再生」、「震災復興」、「危機管理(外交・安全保障)」という三つの話しからなるポイント提示型で組み立てられています。この型は、強調したいことを端的に伝えるスピーチに適したものであり、安倍総理が、今、最も注力すべきであると考える最重要政策課題を強いインパクトで、分かりやすく伝えるのにふさわしい構成方法であると言えるでしょう。

4. 未来像の視覚化

 総理は、ボディの一つ目である「経済再生」についての話しで、問題解決型の基本構成で話しを展開しました。まず、「長引くデフレや円高が、『頑張る人は報われる』という社会の信頼の基盤を根底から揺るがしている」という問題認識を示しました。次に、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という「三本の矢」で経済再生を推し進めるという解決策を示しました。

 その上で、「世界中から投資や人材を惹きつけ、若者もお年寄りも、年齢や障害の有無にかかわらず、全ての人々が生きがいを感じ、何度でもチャンスを与えられる社会...」というように未来像をありありと描き、視覚化しました。これは、オバマ大統領も用いる演説の手法で、聴衆に政策の実行後の姿を示すことで、協力を促すものです。