この制度以前にはQFII(適格外国機関投資家)制度があり、こちらを使ったETFも組成されている。その違いは、RQFIIが香港で調達した人民元を使って直接本土の中国株に投資できるのに対し、QFIIでは原則として米ドルを本土へ送って人民元に換金してから中国株に投資する。つまり日本の投資家の場合は円をいったん米ドルに替えてから人民元に再両替しなければならないので、その分、コストがかかる。また換金性ではRQFIIが本土へ毎日送金できる(つまり毎日現物株を売買できる)のに対し、QFIIは月1回の送金に限られるので、運用や換金が制限されていた。

日本株と同じ口座で
手軽に取引できる

 この制度を使って上場するETFは、「China AMC CSI300 Index ETFJDR」(チャイナアセット)と、「南方FTSE中国A株50ETF」(中国南方アセット)の2銘柄。いずれも上海と深セン市場に上場する時価総額上位銘柄を対象としており、前者は300銘柄、後者は50銘柄となる。

 この2銘柄は、昨年の夏に香港で上場した後、わずか半年足らずで現地のトップ5に食い込む爆発的な人気銘柄となっている。そのETFを国内に導入した形だが、「そのまま国内に持ち込むと外国有価証券となり、投資家は普段売買している日本株の口座とは別に外国証券取引口座を開設しないといけない。そこで日本国内でJDR(日本版預託証券)という形で再発行することで、権利関係は同じながらも、日本株と同じ口座で同じように売買できるようになりました」と木村氏。

 これによって個人投資家も中国のマーケットにより簡単にアクセスできるようになった。そのメリットは大きい。