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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

日米トップ会談の成功は
オバマ大統領2期目の課題への協力次第

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第65回】 2013年2月22日
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 オバマ大統領が2月12日に上下両院議員を前に一般教書演説を行った。一般教書演説は2期目の4年間の包括的な施政方針演説でもある。やや長くなるが、まずはその内容をご紹介したい。

 大統領はまず成果の報告から始めた。アフガニスタンから毎年3万人規模で米兵を帰還させる。大統領に就任して以降600万人の雇用を創出した。景気は回復基調に入っており、住宅市場も住宅価格が上昇に転ずるなど、回復してきている。それでも失業率の水準はまだまだ高いし、賃金の上昇も見られない。アメリカ経済は所得中間層を強くしないと本当の回復はできない。

 今年初めに富裕層のトップ1%への減税措置を撤廃し、歳出削減も超党派で協議して実現した。さらなる歳出の削減については、これから下院で過半数の議席を有する共和党と協議をしていかなければならないが、大統領と上下両院が合意できない場合には自動的に1兆ドルの歳出を削減することになる。だがこれは悪い考え方である、特に教育、医療分野の歳出削減を安易に進めるとアメリカの将来の繁栄がなくなる。

 10年間で4兆ドルの財政赤字を削減しなければならないが、それよりも税法を改正し、脱税の抜け道をふさぐことで財源を捻出すべきだ。新たな財源をアメリカの未来を担う子どもたちに投資する。そうすれば雇用が海外に流出することを防げる。共和党の協力を得て実現していきたい。私は決して「大きな政府」を作りたいのではなく「スマートな政府」を作りたいのだ。

 海外に出ていたアメリカの製造業が続々と国内に戻ってきた。キャタピラーは日本の製造拠点をたたんで米国に移したし、フォードはメキシコから、アップルは中国から、それぞれ米国内に戻している。製造業革命は再びアメリカから始まろうとしている。昨年3Dプリンティングの訓練センターを作った。こうしたセンターをこれからさらに15ヵ所作る。

 ゲノムへの投資も重要である。ゲノムへの1ドルの投資は140ドルになって返ってきた。脳の遺伝子解析からアルツハイマーへの対応もできるようになるし、再生医療にももっと投資が必要だ。天然ガスの国内採掘にも努力し、クリーンエネルギーへの転換も進めてきた。他国からの化石燃料輸入に依存せずに自立できるようになった。地球温暖化と戦う準備もできた。これでクリーンエネルギーの主導権を中国から米国へ取り戻せる。

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安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ


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シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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