わかりやすくコンセプトを伝えるワザ

新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』でも、内容がわかってもらえずに地団駄踏む姿がいくつも登場する。しかし、それを乗り越えてヒットした商品を集めているわけだから、ダメ出しを食らった場合の正しい対処法がわかるはずだ。

ボツになった企画を復活させて<br />大ヒット商品にする方法戸田 覚(とだ・さとる)
1963年東京生まれ。ビジネス書作家、コンサルタント。株式会社アバンギャルド、有限会社戸田覚事務所代表取締役。ハイテク、パソコン、成功する営業のコツ、新商品開発、新事業開発といったテーマを中心に、執筆、出版プロデュース、講演、コンサルティングに携わる。ビジネス誌、パソコン誌、情報関連雑誌をはじめとして多数の連載を抱える。著書に『あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』『プレゼンの極意を盗め!』(以上、ダイヤモンド社)、『すごい人のすごい企画書』(PHP研究所)、『仕事で使える!クラウド超入門』(青春出版社)、『LinkedIn人脈活用術』(東洋経済新報社)など多数がある。
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 たとえば、キングジムの大ヒットしたノート「SHOT NOTE」は、最初の企画書では企画が通らなかった。競争の激しいノート市場では難しいと判断されたのだ。

 しかし、この商品のポイントは「デジタルとアナログの融合」である。「手書きしたものをスマホで撮影してデジタル化するのに便利なノート」というのが商品コンセプトであり、通常のノートとはまったく違う。その違いの部分が最初の企画書ではうまく伝わらなかったのである。

 そこで企画立案者は、2度目の企画書では以下のような工夫を行った。

・ スマホとの連係について最初にしっかり説明する。
・ スマホの画像をふんだんに取り入れる
・ 利用シーンをイラストでわかりやすく説明する

 ナマの企画書はぜひ『新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』でご覧頂きたいが、この結果、コンセプトが明確に伝わり商品化が実現できたのである。こうして「SHOT NOTE」は累計200万冊の大ヒット商品となった。

 バンダイの「∞(むげん)プチプチ」も、コンセプトが伝えにくい商品ということで苦労している。最初のアイデア会議ではまったくウケず、誰からもコメントをもらえなかったという。

 それでも諦めきれなかった担当者は、本会議でのプレゼン実現を強引に上司に頼み込む。そして、その会議で驚くような趣向を凝らしたのである。なんとプレゼン前に実際のプチプチを出席者に配布し、皆が何気なくそれをつぶし始めた頃を見計らって「人はプチプチをつぶさずにはいられません」「このオモチャなら世界中で売れます!」とぶち上げたのだ。意思決定権者は「めちゃくちゃ面白いからすぐやれ」と絶賛し、すぐさま企画通過が決まったという。

 書類の上だけで「人はプチプチをつぶしたいはず」と書いてもイメージしにくい。だが、実際に出席者からその行為を引き出してしまえば説得力は抜群だ。こうして生まれた「∞プチプチ」は、マスコミに大きく取り上げられ、口コミも広がって、全世界販売数335万個のスーパーヒットになっていく。