株式レポート
2月25日 18時0分
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レンジを切り上げる - 広木隆「ストラテジーレポート」

週明け25日の日経平均は大幅続伸で始まった。次期日銀総裁に黒田氏、副総裁に岩田規氏と報道されたことで、早朝のオセアニア市場でドル円は一時、2010年5月以来となる94円77銭まで円安ドル高に振れた。株式市場の寄り付きには一旦、利益確定売りで94円台前半まで押し戻されたが、この人事案がマーケットに好意的に受け入れられたことは確かだろう。これについては、当社チーフ・エコノミスト村上のコメントを参照してほしい(「黒田総裁、岩田規副総裁」でマーケットはどう動くか)。

我々が考える次期日銀の執行部人事としては「ベスト」ではないものの、現実的な選択として「セカンド・ベスト」であり、実現すれば「上出来」である。但し、ドル円が95円の壁に阻まれて早くも失速したことを捉えて、「この人事が国会(参院)ですんなり承認されるか分からない」という声が上がっている。すぐに悲観的な面、悪材料を探そうというのは市場関係者の悪い癖だが、相場に臨むからにはそのくらい慎重でよいのかもしれない。しかし、この人事案を巡って国会が紛糾するかといえば、そんなことにはならないだろうと考える。まず野党第1党の民主党が反対できないと思われるからだ。その理由は安倍政権の支持率の高さである。

日本経済新聞社とテレビ東京が22〜24日に実施した世論調査で、安倍内閣の支持率は1月末の前回調査から2ポイント上昇し70%となったと報道されている。日経新聞によると「内閣支持率は前回も発足直後より6ポイント上がっており、発足後2カ月連続で支持率が上昇するのは極めて異例」だという。2000年以降、もっとも支持率が高かった小泉内閣でさえ発足後2カ月目には支持率は低下した。そう考えれば、この「アベノミクス」がいかに国民の支持を得ているかが伺い知れるというものだ。

つまり、昨年の衆院戦の自民党の圧勝が示すように、このアベノミクス路線は「民意」なのである。この民意を前にして、日銀総裁案を反故にしようものなら、(言葉の例えは適切さを欠くかもしれないが)「逆賊」の汚名を着せられるだろう。ただでさえこのままでは夏の参院戦での劣勢苦戦が見えている民主党にとって、いたずらに日銀人事を引っかき回してアベノミクスの流れを停滞させることは民意に逆らうものであり、自殺行為と言えるだろう。

今日の日経新聞・オピニオン欄「核心」のコラムは論説委員長、芹川洋一氏が「農業パワーなる幻影」という論説を書いている。その書き出しはこうだ。「政治は権力イメージをめぐる闘争である。実態はともかくとして力があるとみられれば優位に立つ。逆に、影響力なしとなれば劣位に置かれる。真実は、うそと、まことが入り乱れた微妙なさかい目にあるのだろうが、その駆け引きに政治のひとつの断面がある。」

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を決断すれば、参院選で農業票が逃げてしまい、政権の大目標である自公による過半数確保が難しくなる - 果たしてそうだろうか、という論考なのだが、この冒頭の文章はそのまま日銀総裁人事を巡る国会の承認プロセスにも当てはまる。今回の日銀総裁人事はすんなりと両院の同意を取り付けるだろう。

日経平均のチャートを見ると、1月は1万500円から1万1,000円のレンジで約1カ月もみ合った。1月末に1万1,000円台に乗せてからは、1万1,000円台前半のレンジ内でのもみ合いが3週間強続いた。これで今日、終値で1万1,500円の節目をクリアして引けることができれば、今後は1万1,000円台後半へ、もみ合いのボックス・レンジを切り上げるだろう。



上場企業の4-12月期決算発表、G20、日米首脳会談とイベントをやり過ごし、日経平均は着実にレンジを切り上げてきた。その間、もみ合いながらもボックスの下限を下放れることなく、ずっと25日移動平均でサポートされてきた。しばらくこのトレンドは続くだろう。

最大の材料であった日銀総裁人事は無難な線で落ち着きそうだ。どっちに転んでも総裁人事は相場材料になるし、事実、反応した。しかし、それはあくまでも短期的な反応にとどまるだろう。市場が本当に注目するのは新体制のもとで初めて開催される4月3-4日の政策決定会合である。そこでどのような具体的な緩和策が打ち出されるのかを見極めたいという姿勢が優勢となるだろう。それまで材料らしい材料はなく、ここから1カ月は高値圏でのもみ合いとなるものと予想する。それでも、そのもみ合いのなかで年度末に日経平均1万2,000円という予想はじゅうぶん達成できると見ている。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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