2012年10~12月期決算発表が峠を越えた。事前のアナリスト予想に対し、企業サイドから出される12年度業績見通しは若干の下方修正、同13年度は大幅な上方修正となっている。結果、13年度の経常増益率予想は30%程度に引き上げられる公算が大きいだろう。

 業績回復の牽引役は二つ。一つはコスト削減効果である。昨年度から今年度にかけて、電機、鉄鋼、化学など多くの企業で大規模な事業構造改革が発表されている。これらの効果が来年度に大きく顕在化するとみられている。

 もう一つは円安メリットである。主要企業200社の為替感応度を見ると、対ドルで5円円安となった場合、経常利益を2.8%押し上げる。対ユーロでは同1.1%。つまり同時に5円ずつ円安になると、計3.9%の押し上げ要因となる。

 内訳を見ると、製造業では7.5%、特に電機、機械、自動車、精密機器といった加工組み立てに限れば10.3%もの押し上げ要因となる。一方、電力・ガスなどを含む非製造業では1.6%の押し下げ要因になってしまう。

 主要200社の中で、昨年12月時点で為替前提を開示していた企業は、対ドルで114社、対ユーロで71社あった。

 対ドルでは114社中、80円より円安前提の企業はわずか1社にすぎなかった。対ユーロでも、105円より円安前提の企業は71社中2社だけだった。

 それが1ドル=94円、1ユーロ=127円まで円安が進展したのだから、株価が急騰しないほうがおかしいともいえよう。

 ここまで急ピッチで進展してきた円安に対して、一部の投資家は依然として懐疑的に見ている。その分、一段の円安が進展せずとも、現状の円安水準が定着するだけで株高材料になると考えている。