情報公開でコストダウン。
CM方式の先駆的企業

 経営戦略を考えたオフィス移転では、コストも重要だ。昨今注目されるCM方式(コンストラクションマネジメント)のビジネスモデルをいち早く導入したのも同社。

「従来の一括請負方式は、資材やサービスの調達など、元請けの仕入れ価格を顧客に公開しないため、それが適正なのか割高なのか、判断できませんでした。我々は、資材や施工業者の選定プロセスをオープンにして、企画やデザイン・プロジェクトマネジメントといったフィービジネスに転換することで明朗会計を実現しました」

 この方式によって、すべての情報がオープンにされることで公正な競争原理が働き、結果として発注側のコストを大きく削減できる。このプロセスは、クライアント側に立って基本計画立案や設計、工程管理やコスト管理を行うCMR(コンストラクションマネージャー)によってデータベース化され、顧客の要望に応じて、どの段階でも明示できる仕組みとなっている。

品質・コスト・スピード
すべてに高い顧客満足度

「コスト削減だけでなく、同時にクオリティとスピードも向上させなければ意味がありません。当社の場合、一級建築士はもちろん、電気・空調等の有資格者、構造設計一級建築士、建築コスト管理士、インテリアプランナー、システムアドミニストレーター、電気通信主任技術者など、オフィス移転プロジェクト全体を網羅する技術者をインハウスにそろえています。彼らの経験と技術力、そして徹底してクライアント側に立つCMRとのチームワークが、クオリティとスピードを両立させます」

 企画、設計・デザインの前段階で、発注側の意図を汲み、経営戦略に沿った提案をする。基本計画段階から入り、新しいオフィスの青写真をつくり、プロジェクト立ち上げそのものをサポートする。特に建設中の新築ビルへの入居など、法的にも技術的にも難易度の高い移転では、早い段階で同社のような専門家に相談することが重要だ。

「そのために必要なのは、経営トップのプロジェクトへの想いです。できる限りトップインタビューをお願いし、経営戦略の視点からオフィスに対する考えをうかがいます。このトップインタビューが、当社の最大の武器である『提案力』にもつながるのです」(大貫 美常務)

大貫 美
常務取締役
CRE・オフィス担当 兼
安全衛生推進本部長

 もう一つ、マネジメントフィーの見積の作成方法も特徴的だ。ベースとなるのは独自の「マンアワーコスト管理システム」。社員は毎日、自分が行った行動(アクティビティ)と、プロジェクトごとに要した時間を入力する。さらに各社員は専門分野の習熟度や実績で格付けされており、時間当たり単価と作業時間をかけ合わせて原価を導き出す。この原価をベースに、マネジメントフィーを提示する。

 これは、工事額に対するパーセントで算出されたものではないので、工事額の変動に影響されず、クライアントと立場を同じくしてコスト削減に務めることができる。調達だけでなく、フィーの算出方法も明確にすることで発注側の納得感は増す。経営戦略を考えた提案力、そして納得感の高いコストとスピードにより、顧客満足度の高いオフィスづくりを実現している。