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岸博幸のクリエイティブ国富論

政府・知的財産戦略本部のとんちんかんなクリエイティブ産業育成戦略

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第14回】 2008年11月7日
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 先週説明しましたように、クリエイティブ産業は、新たな成長産業、地方活性化への貢献、ソフトパワーの強化という面に加え、経常収支黒字への貢献という観点からも、これからの日本にとって重要性の高い産業です。英国政府が10年前のブレア政権のときからクリエイティブ産業を戦略的に強化してきたのも、おそらくそれらのメリットを考え、英国の製造業が衰退する中で金融業に次ぐ柱となる産業を育成しようと考えてのことだと思います。

 過去10年の英国政府の取り組みを見ると、幾つかの特徴があります。後述する日本の政策との比較の観点から重要と思う点は以下のとおりです。

・伝統文化からデザインなどの現代文化まで、またメディア関連もと、広く知的財産がベースの産業を対象としてきた

・単なる産業振興に止まらず、学校教育での個人のクリエイティビティ強化や人材育成に取り組んでいる

・知的財産の保護をしっかりと強化している

  特に重要なのは2番目と3番目の点だと思います。クリエイティブ産業にとって個人のクリエイティビティこそが産業のタネであり、また知的財産が適正に保護されクリエイティビティが報われる環境が整ってこそ、才能ある人がこの産業に集まるのです。

取り組みがバラバラな日本政府

 それでは、日本政府はクリエイティブ産業の育成にどう取り組んでいるのでしょうか。

 結論から言えば、以下のように複数の省庁に所管が分かれている結果、残念ながらバラバラな取り組みしか行われていません。

・文化庁:伝統文化、現代文化(著作権制度)
・経産省:現代文化(振興)、広告、ソフトウェア
・総務省:マスメディア、メディアコンテンツ
・知的財産戦略本部(官邸):関係省庁の調整と取りまとめ

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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