時間も文字数も
究極まで絞り込む

 企画書やスライドが企画を説明するために作成するものであることは、今さら言うまでもない。立案者は、商談や会議における説明のストーリーを想定し、多くの内容を盛り込んでいる。しかし、作り手の考えが聞き手に伝わっていないことが実に多い。

 延々と長い説明をした末に「それで、あなたは何を言いたいの?」的なことを、相手に聞かれた経験はないだろうか? 一概に長時間の企画説明が悪いわけではない。しかし、それが無駄な内容であっては意味はない。

 伝える側が、本当に伝えたいことを絞り込まないと、聞き手の印象にはまず残らないし、理解度も落ちる。この絞り込みこそが企画書づくりのカギなのである。

 アメーバピグが提供する動画配信サービス『ピグチャンネル』の企画書は、わずか3分という時間制限のあるプレゼン用に作られたものだ。30分ではなく、たったの3分である。社内の企画コンペに提出されたものなので、そうしたルールがあったのである。

 しかも、3分のプレゼンの機会を得るためには、一次選考を通過する必要があった。その一次選考の課題が「事業についてひと言で説明する」というもの。「ひと言」は、なんと「25文字以内」だという。

 つまり、たった25文字で企画を伝え、そのハードルを越えると、今度はわずか3分でプレゼンテーションを行わなければならないのだ。

 アメーバピグの企画立案者は、プレゼン用に7枚のスライドを作るのだが、注力して説明したのは2枚だけで、それ以外のものには数秒しか触れなかったという。そもそも、すべてをじっくり説明するような時間は与えられていないのだ。しかし、そんな厳しい制約のもとでも、伝えるべきことをしっかりと伝え、提案した事業も実現に至ったのである。

 企画立案者であれば、言いたいことがたくさんあるのはよくわかる。企画書にあれもこれもと盛り込んでしまう気持ちも理解できる。けれど、伝えることは少ないほどよい。できれば一つ。最も大切なポイントを、相手の心に刺さる形にして伝えるべきだ。