栽培のしやすさと、痩せた土地でも育つことから、世界中で栽培されている蕪――。

 その歴史は古く、中国最古の詩篇である『詩経』や、古代ギリシャ史に蕪に関する記述があるというのですから、2千年以上の食の歴史を持つことになります。

諸葛亮孔明が愛した野菜「蕪《かぶ》」<br />江戸時代、特産品が各地で誕生蕪の味噌汁
【材料】蕪…2個/出汁…2.5カップ(500ml)/味噌…大さじ2
【作り方】 ①蕪は茎を1cm程度残して皮をむき、くし型に切る。茎は4~5cm幅に切る。②鍋に出汁を沸かし、1を入れて中火で10分程度煮る。蕪が柔らかくなったら味噌を溶かし、沸騰直前で火を止める。

 日本でも、古代から好んで食べられていた蕪ですが、かの『三国志』の天才軍師、諸葛亮孔明が愛した野菜だということをご存知でしょうか?

 孔明が10万人もの大軍を率いて南征に向かう途中、野菜不足のせいで兵士が衰弱してゆきました。

 なんとかせねばと孔明が目をつけたのが、当時「蔓菁《まんせい》」と呼ばれていた、自生の蕪でした。

 蕪は、痩せた土地でも早く大きく育つ上、葉も茎も根も食べられて、生でも煮てもおいしく、干して漬ければ保存食にもなるし栄養価も高い……と、いいことづくめです。

 兵舎の周りで栽培させながら軍を進め、無事遠征を終えて帰国する時も蕪を持ち帰り、各地で栽培させました。

 これが蕪の人工栽培のはじまりとなり、人々は孔明の功績をたたえ、蔓菁を「諸葛菜《しょかつさい》」と呼ぶようになたのだそうです。

 (ちなみに日本では、「諸葛菜」と言えば「オオアラセイトウ(ムラサキハナ)」という植物のことを指すのでお間違えなく)