週刊ダイヤモンド 2009年第1号の特集は「デフレ再来」です。正月早々、明るいテーマではありませんが、09年を象徴するタイトルになりました。

 米国の金融不安に端を発した世界経済の混迷が、私たちの生活にも影響を及ぼし始めています。つい半年前まで、ガソリン価格は2倍にまで跳ね上がり、食料品も値上げラッシュを迎えていました。

 それが一転、原油価格はもとより、食品などの原料価格が下落に転じました。

 そして、「高額品、いや生活必需品以外は買わない…」という現象が川下の流通から襲いかかり、これに引きずられるように各商品の販売価格が下落を加速させています。

 一消費者から見れば、低価格販売の再来は嬉しいことのように思いますが、「売れない→値下げ→競合に合わせてまた値下げ…」という負のスパイラルは企業収益を圧迫しています。

 というより、リストラにまで着手し始め、存続そのものが危ぶまれています。このデフレは、私たちに雇用不安や給与カットというかたちで跳ね返ってくることになりかねません。

 今回の特集では、デフレ突入を示すマクロデータやメカニズムの解説はもちろん、各現場での実態をつぶさにリポートしました。値上げ後、売り上げ不振に陥ったメーカーの悲鳴、スーパーや百貨店など小売りの値下げの応酬、野菜のバラ売りに飛びつくようになった消費行動、リストラに晒されている社員の生の声などをお届けします。

 「店員1人で80席の店を運営し、180円のスパゲッティを提供する新業態レストラン」に潜入した記者の体験記も載せています。

 私も1円でも安く買おうと、スーパーで買い物をしました。大手スーパーの西友が面白い取り組みを始めています。店頭価格より、他社のチラシ価格のほうが安ければ、レジでその価格にまで値下げしてくれるというのです。

 早速、5枚のチラシを手に西友で買い物をしました。どれくらい安くなったかは本文をご覧ください。今年もよろしくお願い致します。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 須賀彩子)