株式レポート
3月8日 18時0分
マネックス証券

日本株の上昇余地を考える〜脱デフレの過程で何が起こるか〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

来週の重要経済指標、主要企業決算についてPDF版のレポートで解説しています


今週、日経平均株価が12,000円の大台まで上昇した。年初から15%前後上昇し、米国株などをアウトパフォームしているが、2012年11月半ばからのアベノミクス相場で水準が大きく変わり、現在の株価水準について判断に迷う方も多いのではないだろうか?

日経平均は、リーマンショック前(12,200円前後)の水準まであと僅かまで接近している。一方、米国株は2010年末にはリーマンショック前まで戻り、今週過去最高値を更新している。米国との比較でいえば、両者の連動性はもともと高いのだから、日本株もリーマンショック前の水準まで戻っても不思議ではないといえる。

ただ、日経平均株価はリーマンショック前の節目到達目前だが、TOPIXは1,000ポイントを超えたばかりで、リーマンショック前に戻るには15%以上上昇する必要がある。これをどう考えるかは様々だが、日本株市場もリーマンショック前まで上昇しても不思議でないとみれば、まだ15%以上TOPIXは上昇するわけで、日本株の上昇余地は依然大きいということになる(グラフ参照)。


もちろん、タイミングは正直分からないし、実際にTOPIXが更に15%上昇するか否かは、2013年度の企業業績の改善度合いが大きく影響する。筆者の世界経済見通しを前提にすれば、この程度の上昇を正当化するくらいの、企業業績の大幅な上方修正が起こると予想している。

また、別の視点で、2000年代半ばの株価水準との比較から、今後の日本株の上昇余地を考えたい。3月4日レポートでも紹介したが、現在の日本株市場について、脱デフレをテーマに日本株が急騰した2005年と比較したり、あるいは1980年代後半のバブルの始まりと現在の類似点を述べるコメンテーターも最近あらわれている。11月半ばから30%上昇してきた日本株の一段の上値の余地を考えるなら、そうした過去の経験が参考になるのは確かである。

以下では、2000年代半ばに日本経済が脱デフレに向かう過程で、TOPIXの水準がどう変わったかを振り返り、現在の株価水準の判断材料にする。先ほどのグラフで2003年以降のTOPIXの推移が分かるが、現在の1,000前後の水準は2003年末と同じである。当時は、りそな銀行救済で金融不安が和らぎ、それまでの日銀の量的金融緩和効果や世界経済持ち直しで、物価下落圧力が和らぎ始めていた。そうした環境で、TOPIXは米国株(S&P500)とほぼ同じピッチで上昇していたわけである。

その後2004年春先までTOPIXは順調に上昇、3ヶ月余りで1,200前後まで約20%上振れた。その後2005年夏場まで、1,050〜1,200の範囲で方向感がはっきりしない相場が1年以上続いた。その後2005年夏場から脱デフレ期待の盛り上がりで、このレンジをブレークする急騰で歴史的な大相場が訪れた(2005年末にはTOPIX1650と年間で43.5%上昇)。

前回の脱デフレ相場のTOPIXの推移と比較すると、現在の1,000程度のTOPIXの水準は、当時でいえば「脱デフレを窺う以前の水準」である。繰り返しになるが、銀行破たんリスクが和らぎ、不良債権問題が峠を越えつつあるとの認識が広がったのが、2003年末当時と同じということである。

現在のTOPIXが1,000までようやく戻ったことを、当時となぞらえると、リーマンショックと金融危機という大きなショックの弊害を十分理解しない民主党政権と日本銀行による円高デフレ放置という、政策の不作為が変わり、日本株が再び上昇トレンドを辿る局面に入り1,000という節目まで戻ってきた、と位置づけることができる。

そう考えると、今後アベノミクス発動、つまり日本銀行が新体制になり金融緩和が強化され、脱デフレが実現に向かう過程で、TOPIXはどうなるか?2005年半ばにインフレへの転換が明確に意識される以前に、TOPIXは1,200前後まで上昇していた。当時よりも、現在は名目GDPの規模が減っており単純な比較はできないが、アベノミクス成功による脱デフレシナリオが続くならば、TOPIXが現在のような1,000程度で止まる可能性は低いだろう。

つまり、先ほど示したTOPIXでリーマンショック前の1,100台後半までの株高というのは、2000年代半ばの脱デフレの過程(途中で頓挫したが)で起きる株高の経験を踏まえても十分想定できる、ということだ。アベノミクスが成功し、前回のように日本経済が脱デフレへの道筋を順調に辿るならば、更に少なくとも10%程度の株高は十分射程圏にある。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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