大事なのは、母親の働きかけ

「本能のままに育てる」と言っても、何もせずに放置しておけばいいということではありません。

 産まれたときから100%完璧な子どもはいません。
 耳が前のほうに折れている子もいます。あるいは、足の指をギュッと握ったままの状態の子もいれば、足の指が1本だけ長い子もいます。
 こうした心身の問題を直すためには、母親の手引きが必要になってきます。

 といっても、そんなに難しいことをしろと言っているのではありません。
 たとえば、足の指をギュッと握ったままの状態の子であれば、その指をお母さんの手で伸ばしてあげる。あるいは耳が前に折れている場合も、お母さんが赤ちゃんの耳を指でマッサージしてあげれば、徐々に正常な状態に戻っていくものです。
 このころの赤ちゃんの体の部位は、まだまだ柔らかいのです。

 もちろん、《クボタメソッド》の関連園や関連教室が主催している【赤ちゃん教室】に来てくだされば、私がお母さんの代わりに、直接手をかけることもできますが、それでは意味がありません。

 子どもの能力を伸ばしていくためには、お母さんがそれを自分のお子さんに行うことが、なによりも大切なのです。
 とにかく、あらゆる場面で、お母さんが毎日、自分のお子さんに働きかけることが大事です。

 また、こうした肌と肌を合わせるスキンシップに加えて、赤ちゃんの発育にとって大事なのが声がけです。
 母親の声がけが多いほど、子どもはしっかりと話をするようになります。

 そして、声がけをする際に大切なのは、ボキャブラリーを増やしてあげることです。
 赤ちゃんに声がけをする際、よく幼児語を用いる親がいます。
 たとえば、犬と言わずに「ワンワン」、自動車ではなく「ブーブ」といった語尾がつまったり、こもったりする類のものですが、これで声がけをしていては、いつまでも子どもは正しい単語で話せるようになりません。
 きちんと「犬」「自動車」という単語で語りかけるようにしてください。

 なお、子どもの能力を高めるなどと言われる“胎教”ですが、実のところ私にはよくわかりません。ただ、母親が直接、胎児に対してコミュニケーションを取るようにすることは大切なことです。
 赤ちゃんのうちは本能に任せておく。
 これを守るだけで、しっかり賢い子どもに育つ素地が出来上がってくるのです。

(次回は3月19日更新予定です。)


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久保田カヨ子(くぼた・かよこ)
1932年、大阪生まれ。脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた独自の久保田式育児法《クボタメソッド》を確立。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。著書・共著書に、シリーズ23万部突破の『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』(以上、ダイヤモンド社)、『脳科学おばあちゃん久保田カヨ子先生の誕生から歩くまで 0~1才 脳を育むふれあい育児』(主婦の友社)などがある。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【脳研工房ホームページ】 http://www.umanma.co.jp/