これまで、簡単な方法で中国語の文献を読むことを探ってきた。これをさらに推し進めることとしよう。

普通の中国語講座で
教えることと教えないこと

 中国語の文献を読むテクニックとしては、つぎのようにいくつかのものがある。

 1.日本語の助詞に当たる文字を識別すること。「的」を「の」と置き換えるだけでも、かなり読むことができることを示した。中国語の文法をさらに学習すれば、さらに読み進むことができる。

 2.簡字体を学習する。これらの中には、一度聞けばすぐに覚えられるものも多い。

 3.関心のある分野に特有の表現法や述語を覚えること。これは、さらにつぎの2つに分けられる。

 3-1 ある程度広い分野(例えば、経済や統計など)に共通の表現や述語を覚えること。例えば、「◎比」(前期比、◎は王へんに不)など。

 3-2 特定のテーマに特有の表現や述語を覚えること。例えば、「不動産バブル」というテーマに興味があるのであれば、「次級貸款」(サブプライムモーゲッジ、級と貸は簡字体では別の文字)と言った言葉を知っていることが重要だ。こうした言葉は、一般の日常会話には出てこない。

 以上のうち、普通の「中国語講座」で扱っているのは、1と2である。この2つは、どんな分野の文献を読むにも必要だからだ。つまり、この2つは、中国語の文献を読むための必要条件である。

 しかし、この2つに関して学習しさえすれば中国語の文献を読めるかと言えば、決してそんなことはない。新聞の社会面の記事は読めるかもしれないが、専門分野の文献は読めない。「◎比」という表現を知らなければ、統計の表さえ、意味を正確に把握することができない。