三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越で、正社員1000人規模の人員削減に踏み切るというリストラ策が発表されました。百貨店業界は、売上高の減少が止まらず7兆3800億円の市場規模が、将来5兆円台になるという予想が背景にあるようです。これに対してドラッグストア業界では、08年度の全国ドラッグストア売上高が07年度に比べ、5%増の5兆2336億円と伸びていますが、競争も激化しています。

 そんな中、マツモトキヨシとローソンが提携するという、競業企業が手を組む動きが出ています。新たな業態で成長を図る動きです。ユニクロを経営する絶好調のファーストリテイリングは、2010年にグループ売上高1兆円を、2020年には5兆円を目標にした戦略を描いています。

 売上高は、経営において重要な課題で、売上拡大は大変良いように見えます。しかしその裏で、いろいろな問題点も存在します。今回は、最近の売上高の伸ばし方を検証しながら、売上高の本質を考えてみましょう。

売上高アップ作戦を
3タイプに分類してみよう

 低価格志向が強まって、売上をアップさせるために、さまざまな工夫が行われています。以下の9つの売上アップのための事例をよく読んで、共通する点、異なる点は何かを考えてみましょう。そしてこれらを3つに分類してください。

(1)今年の百貨店は、7月からという慣例を破り、6月から夏物バーゲンを始めました。大手スーパーも同様です。ボーナスカットで消費者心理が厳しくなる前に、早期のクリアランスセールの実施で、売上高の確保を狙いました。

(2)買い物に応じて企業が発行するポイントが、2009年度に1兆円超える見通しです。現金通貨の流通額の1.5%に当たります。小売業、携帯電話、航空機の利用、ネット販売までさまざまな分野で、販売促進策に活用されています。ポイント発行企業は、ポイント未利用分の一定割合を引当金に計上します。ヤマダ電機は2009年3月期で、前期比2.5倍の177億円を計上しました。

(3)電子マネーも顧客獲得手段として、企業に浸透してきました。2008年までの電子マネー発行枚数(累計)は約1億3500万枚、国民1人1枚時代の到来です。EdyやSuicaで56%を占めています。流通系のイオングループの「WAON」、セブン&アイグループの「nanaco」は、グループの売上増に貢献しています。イオンは「WAON」の利用の拡大で、09年2月期にポイント引当金が71億円と36%増えました。