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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

企業家精神を当然とするには
イノベーションの機会に
注意を払わせる仕組みが必要

上田惇生
【第324回】 2013年3月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2100円(税込)

 「既存の企業において企業家精神を発揮させるには、それなりの方策がある」(ドラッカー名著集(5)『イノベーションと企業家精神』)

 マネジメントの目を機会に集中させなければならない。人は提示されたものは見るが、提示されないものは見逃す。

 そこでドラッカーは、効果が実証ずみの、企業家精神浸透のための方策を三つ教える。

 第1が、「機会」会議の開催である。ある医薬品メーカーでは、第二月曜と最終月曜の月2回経営会議を開いている。第2月曜の会議では問題を検討する。つまりごく普通の「問題」会議である。だが、最終月曜の「機会」会議では、目標を上回った分野や予期せぬ市場からの受注を取り上げる。

 このメーカーでは、自社の成功がこの「機会」会議のおかげだったとしている。しかし、実際にこの会議で取り上げた機会の一つひとつよりも、そこで培われた企業家的な姿勢のほうが、大きな意味を持っていたという。

 第2が、年2回の「成功」会議の開催である。このメーカーでは半年に一度、ラインのマネジメントを40~50人集め、2日がかりの戦略会議を開いている。特に、初日の午前中をかけて企業家的なイノベーションに成功した部門のマネジメントが、成功の顛末を報告し、今後の計画を発表する。

 ここでも、実際に会議でなされた報告そのものよりも、その戦略会議に参加した者の姿勢や価値観に与えた影響のほうが、大きな意味を持っていたという。もちろん、発表者自身の以降の動機づけに最大の効果があったという。

 第3が、トップマネジメント・チームのメンバーと、若手との定期会合の開催である。「今日は皆さんの考えをお聞きしたい。この会社のどこに大きなチャンスがあると思うか」。

 ただし、この会合で出す提案については一つだけルールを設けているという。提案した者は、案の実行を担当しなければならない。

 「この種の会合からは、企業家的な成果が数多く生まれる。しかしそれらの成果は、会合から得られる最も重要なことではない。最も重要なことは、組織全体に企業家的なものの見方、イノベーションの重要性への認識、さらには新しいものへの貪欲さが浸透することである」(『イノベーションと企業家精神』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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