この屋外拡声子局は08年、閖上・下増田地区に9基。翌09年、その他の地域に11基、設置された。

 08年度の予定価格、1億2390万円だったが、落札価格は5985万円。6400万円余りもの大きな価格の開きがあった。

 09年度は、予定価格通りの4200万円で落札されている。施工業者は、NECネッツエスアイ(株)東北支店だった。

 東日本大震災で稼働しなかった原因について、市は、11年6月28日に設置業者から不具合報告書が提出されたとして、12年5月1日付の『広報なとり』誌上で、こう説明している。

<3月11日午後2時48分に異常が発生し、電波を送ることができなくなった。

 送受信装置の電源ユニットのダイオード間に焦げ跡が認められ、ヒューズが飛んでいることが確認された。

 何らかの原因で装置内部に混入した金属物が、地震の振動により、電源ユニットまで落下し、ショートしたため、ヒューズが飛んだことが原因と思われる>

 防災行政無線が機能を発揮しなかったことについて、市は「大変遺憾である」との見解を示している。

 一方、12年7月31日付けの2回目の回答書の中で、市は、NECネッツエスアイ社の見解を紹介している。

<偶発的な事態が重なって発生した不具合ではありましたが、防災無線という非常時に機能すべきシステムが、名取市様において機能を発揮できなかったことについては、非常に残念で悔しく思っております>

 さらに、悼む会が、同社から遺族や被災者などに直接、謝罪することを求めた公開質問状に対しては、同社は市の回答書の中で、次のような見解を示した。

<今回の不具合については、既に名取市様へは詳細な分析・報告をさせていただき、名取市様より、これに基づき、広報紙を通じて市民の皆様にご報告を頂いておりますので、当社からとくに付け加えてご説明すべき点はないと考えておりますし、お客様である名取市様を飛び越えての直接のご説明はご遠慮させていただきたく考えます>

 この中の<お客様である名取市様を飛び越えて…>は、名取市の主体が市民であることを考えると、命に直結する商品を扱う企業として首を傾げたくなる見解だが、今後、詳しい原因などについては、市に設置される第三者検証委員会によって検証される予定だ。

 しかし、これは名取市だけの問題ではない。いざというとき、大津波警報発表や避難を知らせる防災行政無線やサイレンは、どこの自治体でも鳴らない可能性がある。

 どんなに「大丈夫」「万全だ」と言われていても、「構造計算が甘くなっている」かもしれないし、「偶発的な事態が重なる」かもしれない。行政もメーカーも住民も、そのことを日頃から認識しておく必要がある。

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